法廷日記

浦部孝法の日記です。時事問題、法律問題に関して適当に書いています。

軽すぎる判決、裁判官は口頭注意、検察官は懲戒

これは珍しい事例。

 <軽過ぎる判決>裁判官ミス…気付いた検察も控訴見送り (毎日新聞) - Yahoo!ニュース

懲役刑の刑罰には、基本的に下限と上限が罪ごとに決まっています。この事例の被告人の起訴罪名は強盗罪。強盗罪の法定刑は、5年以上の懲役です。酌量減刑がなされれば、2分の1まで減刑ができますので、懲役刑の下限は2年6か月ということになります。

しかし、この事件では裁判官が下限を下回る懲役2年4か月の判決(執行猶予付き)を言い渡してしまったそう。法定刑の範囲外の判決を下してしまったので、この判決は違法になるわけですね。あとからミスに気付いた裁判所は検察官に通知しましたが、検察官は被告人に不利益な判決じゃないし、どうせ執行猶予付きだしいいんじゃねということで控訴せずスルー。そのスルーの判断がまずかったということで、そのスルーの判断をした検察官は懲戒処分を受けてしまいました。違法判決を下した裁判官は口頭注意ですんだそうです。

個人的には、スルー判断をした検察官と同じで、被告人に不利益な判決じゃないんだからわざわざ控訴する必要ないんじゃないかと思いましたが、そうはいかなかったようです。判決をスルーした検察官より、違法判決をした裁判官の方が処分が甘いのもよくわかりませんね。検察官も口頭注意くらいでいいんじゃないかなーと思います。

この違法判決には弁護人も気づいていたかもしれませんが、さすがに弁護人は控訴するわけにはいかなかったでしょうね。控訴すると刑が重くなってしまうので。

(酌量減軽)

第六十六条 犯罪の情状に酌量すベきものがあるときは、その刑を減軽することができる。

(法律上の減軽の方法)

第六十八条 法律上刑を減軽すべき一個又は二個以上の事由があるときは、次の例による。 

三 有期の懲役又は禁錮を減軽するときは、その長期及び短期の二分の一を減ずる。

(酌量減軽の方法)

第七十一条 酌量減軽をするときも、第六十八条及び前条の例による。