法廷日記

浦部孝法の日記です。時事問題、法律問題に関して適当に書いています。

女性専用車両問題は鉄道会社が「男は乗れない」と明言すれば解決する。

久々に女性専用車両が盛り上がってますね。

女性専用車両反対派に対する「カウンター」とやらまでゾロゾロ出てきて、過去最大級の盛り上がりを見せております。そして、これまたいい素材になりそうな女性陣からの「降りろ」コールなども発生しているようです。電車もちょいちょい停まる事態にまで発展しています。

鉄道会社も頭を悩ませているであろう女性専用車両反対活動ですが、簡単に終息させる方法が一つあります。

それは、鉄道会社が女性専用車両には「男は乗れない」と明言し、男の排除を徹底することです。障害者や子どもはOKというあいまいなルールもなくしましょう。揉める原因です。シンプルに男は全員ダメとするのが重要です。

現状、女性専用車両反対派が女性専用車両に乗り込んでいるのは、鉄道会社が「男性も乗れる」と説明しているのが原因です。ここが、女性専用車両と女性トイレ・女子更衣室の大きな違いです。

女子トイレや女子更衣室は施設側が「男は入室禁止」と明言してますし、社会通念上も男の入室は掃除などの正当な理由がない限り禁止されています。そのため、入室した男には建造物侵入等の犯罪が成立し、強制力をもって男の侵入を防ぐことができます。

一方、女性専用車両については、施設管理者である鉄道会社が「(健常者を含むすべての)男も乗れる」と説明しているものですから、男の乗車を防ぐ手立てがありません。「鉄道会社が乗れると言っているんだから乗っている」という女性専用車両反対派の理屈は極めて明快かつ論理的で崩せません。乗れる車両に乗る行為に業務妨害や不法侵入等の罪が成立することはありません。むしろ乗れる車両に乗っている人に文句をつけて電車を停めている女性陣の方が業務妨害の加害者です。

しかし、現実には理屈どおりにことは動いておらず、一般乗客は「女性専用」という表示のイメージから女性専用車両には男は乗れないと思い込んでしまっています。そのため、女性陣から「降りろコール」などが上がる等のトラブルが発生し、電車が停まってしまいます。女性陣は悪意なく加害者になってしまっているのです。

この問題は、鉄道会社が「男は乗れない」と明言するだけで解決します。施設管理者である鉄道会社が「男は乗れない」と明言した以上、女性専用車両反対派が乗車する理屈は崩れおちます。実際、反対派の人たちは「鉄道会社が乗れないというなら乗らない」と明言しています。それでも万が一彼らが強行して乗り込もうとしてきたら、威力業務妨害等の被疑事実で現行犯逮捕するなどして実力を持って排除することが可能です。

現場でのトラブルは格段に減少することでしょう。

では男性乗車を徹底拒否した場合、女性専用車両反対派の活動はどうなるでしょうか。この場合、彼らの活動は法廷闘争へと移行します。現状、女性専用車両は誰でも乗れるいわば優先座席の一種ですので、いくら男女差別を訴えてもなかなか裁判では勝てません。

しかし、女性専用車両が名実ともに女性専用となれば、違憲・違法な性差別であるとして、女性専用車両反対派が勝訴する可能性がでてきます。そのため、彼らの活動は乗車運動から法廷闘争に移行すると考えられます。

彼らの活動が法廷闘争に移行すれば、少なくとも現場でのトラブルはほぼなくなります。鉄道会社は早期に女性専用車両に男性が乗れないように改善して、現場のトラブルを減らし、乗客の利用に支障が生じないようにすべきです。

パワハラ問題の法的解決が難しい3つの原因

労使間の法的紛争の中で、法的に解決することが最も難しい類型の事件がパワハラ案件である。一方で、労働者側の権利意識の高まりもあって、パワハラの認知件数はうなぎのぼりだ。

労基署等に設置されている総合労働相談コーナーによせられた相談のうち圧倒的な数をほこるのもいじめ・嫌がらせ問題である。パワハラの相談件数はここ10年で2倍以上に急増している。

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引用:厚生労働省「平成28年度個別労働紛争解決制度の施行状況」(PDF)

では、なぜこれだけ問題化しているのにパワハラ問題の解決はなされていないのか。そこにはパワハラ問題の構造的な問題がある。

パワハラ問題の法的な解決が難しい原因は次のとおりだ。

  1. 被害金額が小さい
  2. 立証が難しい
  3. 当事者の気質・性格の問題

 1.被害金額が小さい

パワハラ問題の法的な解決が難しい原因の一つに被害金額の低さが挙げられる。

パワハラを受けた被害者は加害者や会社に対して損害賠償を請求することができる。しかし、その賠償額は、被害者の主張が全面的に認められた場合でもせいぜい5~10万円程度のことがほとんどである。

殴られたり、刺されたりといったしゃぶしゃぶ温野菜事件のような強烈なレベルのものであれば賠償額も上がるが、そんなものは実際にはマレで、ほとんどのパワハラ事件の被害金額は低額にとどまる。

被害金額が低額であると、裁判などの法的手続をとっても賠償金では弁護士費用もまかなえないというケースがほとんどである。そのため、裁判などの手段をとることができず法的な解決が困難となっている。

2.立証が難しい

パワハラは、口頭であったり、長期にわたる小さな行為の積み重ねであったりするので、明確な証拠がないことが多い。また、被害者は基本的には会社と争うことになるので、同僚などの証言を得ることも難しい。

ひとたび法的手続の土台にのせた場合は、パワハラの被害を立証しなければならないのは被害者側であり、結局証拠がなく泣き寝入りというケースが多い。手帳などへのメモが推奨されることもあるが、結局メモも録音や写真等の客観的な証拠が全くない状況では、その証明力は極めて弱いものである。

また、そもそも本人がパワハラだと思っていても、法的には少し厳しめの指導の範囲ということで、違法性が認められないこともある。

3.当事者の気質・性格の問題

パワハラについては会社側も加害者に手を焼いていることが多い。厳しい日本の解雇規制の下では、加害者のパワハラを会社が認知していても、加害者を解雇するという手段をとることはまずできない。せいぜい、指導や異動で対応することしかできないのであるが、パワハラの加害者というのは指導しても聞かないような連中であることが多い。

また、被害者側の気質・性格も問題の解決に影響してくることは否めない。パワハラの被害者は、被害者であり気の毒ではあるもののコミュニケーション能力に難があることが多い。

パワハラ問題の解決にあたっては、被害者側も相談機関や会社と十分にコミュニケーションをとって解決していく必要があるが、これがうまくいかないケースも多い。被害者側についていた相談機関なども、この被害者とはコミュニケーションが上手くいかずこれ以上関わるとこちらに責任が押し付けられかねないと判断したら離れて行ってしまう。たらい回しに合うようなケースはこのケースが多い。

パワハラ問題を解決していくのに必要なこと

パワハラ問題を解決していくためには、まず裁判で認められる賠償額を高額化していく必要がある。今の解決水準は安すぎる。

また、解雇規制が厳しすぎるのもパワハラの温床であろう。パワハラ加害者の解雇をより容易にする必要がある。

法務局職員が弁護士を恐喝未遂で逮捕

東京法務局訟務部の上席訟務官が弁護士を恐喝しようとしたものの失敗して逮捕されたようです。裁判記録の誤送信に乗じて恐喝しようとしたみたいですね。

法務局職員、弁護士への恐喝未遂容疑 東京地検が逮捕 - ライブドアニュース

弁護士を恐喝しようっていうのが大した度胸ですね。

相手の弱みを握った恐喝って立場のある人がやる分には非常にリスキーな犯罪です。恐喝行為をした事実自体が自分の弱みになってしまいますから、かえって脅し返される恐れもあるわけです。

こういうのは何も失うおそれがないヤクザやチンピラみたいなのがやってくるのが面倒なのであって、上級公務員がやっても何も怖くありません。

もっというと、裁判記録の誤送信くらいでは脅迫のネタになりません。記録の誤送信なんて未だFAX・郵送がメインの法曹三者にとっては日常茶飯事です。もちろん絶対あってはいけないことですけどね。

弁護士会とかのメーリングリストにもときどき特定の事件記録が誤送信されてくることもありますよ。でも「ごめんちゃい、みんな消しといてね」で終わりです。ひどい話ですが、こんなもんなんですよ。