法廷日記

浦部孝法の日記です。時事問題、法律問題に関して適当に書いています。

ゲーム動画配信はグレーじゃなくて思いっきりアウト

最近は、Yotubeやニコニコ生放送、FC2などの動画配信で稼ぐ手段が確立してきており、動画配信で生計を立てている人は増えています。ブログに比べ動画配信の方が上位独占の傾向が強そうで、プロブロガーなんかよりも、プロ配信者の方がヒットすれば儲けも大きくなりそうです。マスに受けるのはテキストよりも動画というのも大きいでしょう。思っているよりも、テキストを読める消費者というのは少ないです。

しかし、金の臭いが出てきたところで直面するのは法律の問題です。今回は動画配信の中でも特に人気の高いゲーム動画の実況配信等の適法性について検討しましょう。正直検討するまでもなく違法なわけですが。

ゲーム動画は、著作権法上「映画の著作物」(法10条1項7号)として保護されています。そのため、著作権者であるゲーム会社の許諾なくゲーム動画を配信する行為は、著作権の侵害になります。この場合、配信者は民事上の損害賠償、権利者が刑事告訴をした場合には刑事処分をそれぞれ避けることは極めて困難です。なお、著作権法違反になるかについて、動画配信によって利益を得ていたか否かは関係ありません。

ネットなどでは、ゲーム動画配信はグレーゾーンなどと書かれていることもありますが、基本的にはグレーではなく完全アウトという理解をすべきでしょう。

もっとも、ゲーム会社としてもゲーム動画の配信は宣伝の効果もあるので、黙認していることがあります。ネットの情報はその黙認をとらえて、ゲーム動画の配信をグレーといっているのだと思われます。

とはいえ、この黙認を期待してゲーム動画の配信を続けるのはかなりリスキーな状態におかれるので、おすすめできません。万が一、権利者から訴えられた場合は、なんとか適法にもちこむ手段として著作権法上32条1項の「引用」の要件をみたすと主張することが考えられますが、この主張が通すことは困難と考えられます。訴えられればほぼ負け確実、刑事処罰もありうるという状況に自分を追い込むのは危険すぎます。

どうしてもゲーム動画の配信がしたい場合は、ゲーム会社に問い合わせて許諾を得るか、最初から配信が許諾されているゲームを選んで配信をすべきでしょう。