法廷日記

浦部孝法の日記です。時事問題、法律問題に関して適当に書いています。

被害者に脅迫の手紙を郵送した弁護士を札幌地検が懲戒請求

傷害事件の加害者から手紙を送るよう依頼された弁護士が、加害者が書いた手紙をそのまま送付したところ、どうやら脅迫めいた内容だったようで札幌地検から懲戒請求されてしまったそうです。

手紙郵送の弁護士を懲戒請求 - NHK 北海道 NEWS WEB

もともとこの事件は、弁護士が証人威迫でも捜査されていたようですが、弁護士が手紙の中身を確認していなかったと主張していたので嫌疑不十分で不起訴となりました。それじゃあ腹の虫がおさまらんと思ったのか札幌地検が今度は弁護士会に懲戒請求を出しました。

この弁護士は接見室で被疑者の写真も撮っていたようで、警察署は接見室での写真撮影を禁止しているため、それも逆鱗に触れちゃったのかもしれませんね。

刑事弁護をする際の被害者対応というのは、最も気を使う業務の一つですが、今回の事件はいい教材になるでしょう。今回の手紙の内容は、そりゃ証人威迫と言われてもしょうがないよねってものだと思われますが、被害者は弁護士の言葉には非常にナーバスになることも多いので表現の仕方には非常に気を使います。加害者が一方的に悪い場合は、謝り続けるだけなのである意味単純ですが、正直どっちもどっちだよねっていう事案が一番対応に困ります。

問題の男性弁護士はまだ20代とのこと。国選弁護人らしいので、裁判の最後までやったとしても報酬は20万もいかない程度だったでしょう。想像ですが、もしかしたら彼は、手紙を言われた通りに送らなければ、加害者の方から懲戒請求を出されるのではと恐れたかもしれません。彼がやったことを擁護する気はありませんが、国選弁護人の報酬とリスクの釣り合わなさを考えると、なかなか責める気にはなれませんね。