3~5年付き合ってそろそろ結婚かというカップルにおいて、彼女がゼクシィを読んでるとこを彼氏に見せつけ結婚を意識させたり、彼氏がそれに気づかないふりをするといったことはよく聞く話です。
子供もいらないし世間体も気にしないという男にとって、結婚とはあまり魅力のあるものではありませんが、結婚をする気がないのに女性をその気にさせるような言動をするのはジェントルマンの礼儀に反します。ところが、結婚する気もないのに相手に気に入られようとその気にさせてしまう残念な男が多いのも事実です。そのような場合、泥沼の争いに発展することもあるでしょう。
そういったケースで法的に問題となるのは婚約が成立してしまっているケースです。ただのカップルの別れ話であれば裁判所は知らぬ存ぜぬですが、婚約が成立している場合は話は別です。
ところで、そもそも婚約とは法律上どのような意味をもつのでしょうか。まずは婚約の意義から確認していきましょう。
婚約の意義
婚約とは、将来結婚しようという男女間の合意のことをいいます。
婚約が成立するには、男女間で「将来結婚する」ということを合意しさえすればよく、婚約指輪の受け渡しや結納をかわすことは必要ではありません。口約束でも成立します。もっとも、裁判で婚約の成立が争いになるときは、婚約指輪の受け渡しの事実などは重要な証拠となります。
婚約が成立しても、相手に結婚を強制することはできません。ただし、婚約を不当に破棄された場合には、相手に債務不履行や不法行為に基づく損害賠償請求をすることができます。また、第三者に結婚を積極的に妨害された場合には、その第三者に損害賠償請求できることもあります。
不当な婚約破棄があった後の処理
不当な婚約破棄があった場合の処理をまとめると次のようになります。
- 不当な破棄をした側が損害賠償義務を負う
- 損害賠償の中身には、精神的苦痛に対する慰謝料だけでなく、結婚式場や新婚旅行等のキャンセル料などの費用が含まれる
- 破棄された側が結婚のために職場を退職していた場合は、その仕事を続けていれば得られた給料なども賠償の範囲に含まれることがある
- 結婚を妨害した第三者も損害賠償義務を負う場合がある
- 結納金は原則返還しなければならない
婚約の不当破棄による慰謝料はケースによりますが30~500万円といったところで、100~200万円のゾーンが多いと思われます。結婚準備の進行度合いや交際期間、妊娠・中絶の有無などが慰謝料の算定の考慮要素となります。
相手が浮気をしたり暴力を振るうなど、相手の方に責任がある場合は婚約解消に正当理由があるので一方的に婚約を解消しても損害賠償義務は負いません。
結納金は、結婚することを理由に払うものなので、結婚しない場合は原則返還されます。ただし、婚約の解消について責任がある側からの結納金の返還請求は制限される場合があります。
婚約の成立は、プロポーズなどの明確な意思表示だけでなく、長期間の同棲生活や家族ぐるみの付き合いなどからも認定されるおそれがあります。だらだらと女性と付き合っている男性は注意しましょう。