暇つぶし用のブログを書くときや合コンで女性と話すときなどは、その場のなんとなくの共感さえ得られればよく、話の内容それ自体に説得力を持たす必要はない。しかし、ビジネスなどで、相手を説得する必要がある場合、特にお金を出してもらう場合は説得力のある文章を作成する技術が必要だ。
特に、相手が情に流されにくい場合や、対面の機会があまり得られない相手である場合は、文章そのものの説得力が強く要求される。
1.事実を指摘する
まずは、次の文章を見てみよう。
少年犯罪が増えている。少年犯罪の取り締まりの強化が必要だ。
上の文章は、少年犯罪の取り締まり強化をすべきだと主張している。その理由として、少年犯罪が増えていることを挙げている。しかし、これでは理由を何も言っていないのと同じである。
「増えている」などといった言葉は評価であって、事実ではない。事実に基づかない評価は、個人の感想を吐露しただけのものであって、まともに読んではもらえない。
「高い」「強い」「少ない」などといった形容詞も、事実を評価をするための言葉であるので、これを単独で使っても意味はないことに注意する必要がある。
優等生A君の文章はこうだ。
少年による刑法犯の検挙人員は平成元年で19万9644件であるが、平成24年には7万9430件にまで減少している。そのため、現時点であらためて少年犯罪の取り締まりを強化する必要性はない。
上の文章では、きちんと数字が示されているので減少という評価が事実に基づいていることが示されている。その分、取り締まりの強化は不要だという結論にも説得力がでる。
また、数値の増減などを示す場合は、図表などを用いて視覚に訴えることも有効である。
2.指摘した事実の情報源を示す
せっかく事実を指摘しても、その事実がどっから出てきたのか明らかにしないと、指摘した事実に対して相手の信用は得られない。また、情報源はなるべく信頼性が高いものを使う必要がある。統計データに関しては、一般的には官庁が出している統計資料の信頼性が高いと考えられている。どのような統計資料があるかを知っておくことも重要だろう。
犯罪件数などに関しては、法務省が出している犯罪白書が参考になる。
さきほどのA君の文章を改良するとこうなる。
法務省発表の平成25年版犯罪白書によると、少年による刑法犯の検挙人員は平成元年で19万9644件であるが、平成24年には7万9430件にまで減少している。そのため、現時点であらためて少年犯罪の取り締まりを強化する必要性はない。
数値の出典が示されているので、読み手は安心して出された数字を信用することができるし、疑問がある場合は原典にあたって自分で確認することもできる。
3.まとめ
- 事実に基づかない主張は何も言っていないに等しい
- 事実を指摘するときは、情報源を示して事実に信用性を持たせよ