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法廷日記

浦部孝法の日記です。時事問題、法律問題に関して適当に書いています。

言葉の通じない国で逮捕されると通常より重い刑になる可能性があるという話

言葉の壁というものは生活上あらゆる支障を生じさせるが、その最たる場面は刑事手続の場面だろう。

外国人に刑事事件の嫌疑がかかった場合、多くの国では大目にみてくれることなどありえず、むしろ本国人よりも厳しい態度で取り組まれるのが実態だろう。そのため、外国で逮捕をされた場合は、早急に弁護士を付けて臨戦態勢を整えなければならない。しかし、言葉の通じない国でまともな刑事弁護を受けることはなかなか期待できるものではない。

僕は、外国の刑事司法について詳しい方ではないが、日本の刑事弁護人の質というのは諸外国と比べて決して低くないと思っている。その日本の刑事司法制度において、言葉の通じない外国人がどのように刑事弁護を受けることができるか、国選弁護制度を取り上げてみてみようと思う。

日本の国選弁護制度の外国人事件には次の問題点がある。

  1. 通訳人の確保
  2. 国選弁護人のモチベーションを下げる報酬規程

1.通訳人の確保

日本の弁護士の語学力は決して高くなく、ほとんどの弁護士が日本語のみ、たまに英語が取り扱える弁護士がいるくらいである。しかも、英語を業務で使用している弁護士は通常国選事件は取り扱っていないし、英語圏の被疑者というのはあまり多くない。したがって、ほとんどすべての日本語の話せない外国人事件では、通訳人が必要となる。

通訳人が必要となった場合、弁護士が身柄拘束を受けている被疑者に会うには通訳人との予定も合わせなければならない。ただでさえ多忙な弁護士が、通訳人とも予定を合わせなければならなくなるので、被疑者が弁護士の助言を得られる機会はかなり限られたものとなってしまう。通訳人があまりいない言語では、通訳人を確保すること自体も大変である。

刑事事件では一刻も早い弁護士との面会が必要だが、通訳人確保の問題により、この点で十分な刑事弁護が受けられるか極めて疑問である。

2.国選弁護人のモチベーションを下げる報酬規程

通訳事件にあっては、通訳が介在するので、基本的には何をするにも2倍以上の時間がかかる。しかし、国選弁護人の報酬は時給制にはなっていないので、国選弁護人にとって外国人事件というのは日本人事件に比べて全く割に合わない。

しかも、通訳人の報酬は国選弁護人がいったん立て替えて支払わなければならなく、源泉徴収などの手続もしなければならないので、弁護士にとってはキャッシュフローは悪くなるし、手続は煩雑になるということで、外国人事件ははっきしいって外れの事件に分類される。

時給換算すれば、国選弁護人の報酬は、立替払いをしている通訳人の報酬よりも低いものであり、国選弁護人のモチベーションは低くなると考えるのが常識的だろう。これまでは、個々の弁護士の倫理観によって、割に合わない外国人事件も一定の品質を保ってこれたかもしれないが、弁護士が食えないと言われている昨今、もはや個々の弁護士の倫理観によって国選弁護人制度を維持するのは限界に近づいているのかもしれない。

日本でもこの程度、外国ではいわんや

日本でも、外国人の刑事弁護については、それほど手厚い保障がされているとはいえない。これが外国に行ったとき果たしてどうなるのだろうか。海外に日本語の通訳人は十分確保されているのだろうか。そもそも日本のように国の金で通訳人をつけてくれるのだろうか。

余所様の国で悪いことはするもんじゃない。