公民の授業で誰もが習う三権分立のうち司法権を担うのは裁判所である。しかし、裁判所というのは市民に身近ではなく、一生のうちに一度も裁判所を訪れない人もいるだろう。
裁判所といえども、憲法及び法律の範囲内で活動ができるにすぎないわけだが、憲法改正に関わったり法律を作るのは立法府の構成員たる国会議員であり、国会議員を選らぶのは僕ら国民である。もし司法が正常に動いていないとすれば、国民が選挙活動によって立法整備を促さなければならない。
前おきが長くなったが、司法の理解を深めるために、一度は裁判所に傍聴に行ってみようということで、傍聴を楽しむためのルールを解説しよう。
どんな事件を傍聴すればいいか
傍聴できる事件は、刑事事件、民事事件、離婚などの家事事件があるが、このうち民事事件と家事事件は基本的には書類のやり取り5分くらいで終わるので傍聴しても全く面白くない。わけがわからないまま終了してしまうだろう。
一方刑事事件は自白事件であれば1回で審理が終結することが多いので、1回の傍聴(1~2時間程度)で最初からほぼ最後までみれる(判決は当日下されることもあるが基本的には後日になる)。刑事事件は、誰でもイメージがしやすいので一般人が傍聴してもそれなりに話が理解できる。そのため、初めて傍聴に行くなら刑事事件がおすすめだ。
刑事事件の中にも裁判員裁判(殺人・強盗致傷等などの重大事件)と通常裁判(窃盗・覚せい剤等の比較的軽い事件)があるが、裁判員裁判は審理に数日かかるので1日だけ行くなら通常事件がおすすめである。
裁判がやっている時間帯
裁判が始まるのは基本的に午前10時以降で、最終スタートは4時半ぐらいだ。もちろん土日祝日は休みである。また、8月は夏休みという謎の制度があるので、裁判はほとんどやっていない。4月も裁判官の異動の時期で、裁判が少なくなっているので注意が必要だ。
当日どんな裁判がやっているかは、裁判所の入り口に置いてある開廷表ファイルで自由にみることができる。小規模の裁判所なら入口すぐの掲示板に張り紙が貼ってあるだろう。刑事事件は支部などの小規模裁判所だと件数が少ないので、なるべく県庁所在地の地方裁判所本庁に行く方が無駄足にならない。
傍聴時のマナー
入室時
裁判所によっては訴訟関係人と傍聴人の入口がきちんと分かれているところもあるので、間違って訴訟関係人の入口から入らないように注意しよう。訴訟関係人の入口から入るといきなり法廷の中のとこもある。のぞき窓があるので中を確認してから入るのが安全だ。裁判の途中で法廷に入っても問題はない。ノックも不要だ、というかしちゃいけない。立ち見は許されていないので、入ったらすぐに席に座ろう。
持ち物
メモは基本的に自由にしてよい。ただし、録音やカメラ撮影は禁止されている。携帯は電源をオフにしておこう。裁判中にツイッターで実況したら炎上必至なので絶対にやめよう。そのほか特にもっていかなければならないものはない。
起立のタイミング
裁判中起立を求められるタイミングがあるので、きちんと立っておこう。基本的には職員が起立と言ってくれるのでそれに従えば大丈夫だ。
起立するタイミングは次のとおり
- 裁判官が入ってくるとき
- 証人が宣誓をするとき
- 裁判官が出ていくとき
居眠り
居眠りしている人はときどき見かけるが、裁判官によっては退廷を命じられる場合があるので注意しよう。僕は一度だけ、居眠りしている人に裁判官がブチ切れて退廷を命じたのをみたことがある。みんなの注目が集まるのであれは結構恥ずかしい。
傍聴している人ってどんな人?
刑事事件の場合、傍聴席にいる人は概ねこんな感じだ
- 傍聴マニア(おじさんが多い)
- 被告人の家族・関係者(情状証人としてくることが多い)
- 被害者・被害者家族(いないことの方が多い)
- 証人(警察官、目撃者、被害者等)
- 司法記者(新聞記事になるような事件)
- 社会見学やレポート作成のための学生
- 弁護士(次の事件までの待機)
ヤクザ事件の場合は、ヤクザや刑事もいることが多い。この刑事というのが一見ヤクザと見分けがつかないくらい柄が悪い。
以上、ぜひルールを守って傍聴を満喫してほしい。