法廷日記

浦部孝法の日記です。時事問題、法律問題に関して適当に書いています。

2ちゃんねる訴訟、ひろゆき氏が勝訴!約1憶2000万円の支払命令

2ちゃんねるの乗っ取り事件で西村博之氏とNTテクノロジー社(ジム・ワトキンス氏)が争っていた訴訟で、西村博之氏が勝訴したことをツイッターで発表しました。

 判決の一部が2ちゃんねるにアップされています。

2ちゃんねる乗っ取り事件・東京地裁 勝訴判決 2018/06/22

2ちゃんねるについては、2ch.netのサーバーを管理していたジム氏が創設者のひろゆき氏から乗っ取ったことが話題になっていました。

その後、2017年、ジム氏サイドは2ちゃんねるから5ちゃんねるに名称を変更。2ch.netの2ちゃんねるは閉鎖となります。

今回の訴訟は、公開されている判決文によるとひろゆき氏が前払いしたサーバー管理委託料の返還を求めるもののようで、総額112万8000ドルの支払いを命じる判決となっています。

さて、ひろゆき氏の勝利はめでたいのですが、問題は海外法人のNT社に対してきちんと執行ができるかですね。

あくまで今回は日本での裁判なので、海外で判決を執行(海外の預金の差し押さえ等)をするには、日本での判決を現地の裁判所等で承認してもらう必要があります。国際紛争はここがネックになることが多いです。

もっとも、ひろゆき氏の狙いとしては単純な金銭返還だけでなく、2ちゃんねるの運営権の正当性の証明でもありそうです。今回の勝訴は2ちゃんねるにかかわる権利闘争についてひろゆき氏サイドの好材料となりそうです。

 

会社が辞めさせてくれない!←退職届一枚で解決するよ

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会社が辞めさせてくれなくて困ってる人って多いみたいです。

そんな悩みが多いためか退職代行などというサービスまであるみたいです。

会社が辞めさせてくれない問題は、労働系の法律相談としては比較的多い相談ですが、法律の専門家にとっては過払い金請求よりもはるかに簡単な案件です。

上記の弁護士さんのコメントにもあるとおり弁護士ならかなり低額で対応可能です。よっぽど本人が弱気で会社にものいえない人とかでなければ、弁護士に頼むまでもありません。少なくとも大金を払ってまで他人にやってもらうほどのことではありません。

退職するのに会社の承諾は不要

会社を辞めるときのパターンとしては2種類があります。

一つは合意退職といって、会社と従業員が辞めることを合意する場合です。会社が辞めさせてくれないという事情は、法的には会社が退職の合意をしてくれないことを意味します。

もう一つは会社、従業員の一方当事者からの一方的な意思表示による退職です。

会社からの一方的な意思表示はいわゆる解雇です。解雇は法律上、解雇理由がないとできませんので、会社がいつでも自由にできるわけではありません。

一方、従業員からの一方的な意思表示が退職の意思表示ですが、これは解雇と異なりいつでも自由にできます。

従業員からの一方的な退職については、民法に規定があり、従業員が退職の意思表示をしたら2週間経過後に従業員は会社を辞めたことになります。

つまり、従業員は2週間前に退職の意思表示をすれば基本的に自由に辞めれるわけです。*1

そのため、「会社が辞めさせてくれない!」という相談に対しては、「2週間待てるならそもそも会社の承諾なんて必要ないですよ、辞めたいならさっさと辞めましょう。」という回答になります。

それでも「会社が、、」とかごちゃごちゃ言うならそれはもう相談者本人に解決する気がないという話なのでどうぞ会社の言いなりに働き続けてくださいということになります。

ホリエモンのありがたいお言葉

会社の洗脳を解くための一冊

ブレーキの外し方教本、堀江貴文著「すべての教育は「洗脳」である~21世紀の脱・学校論~」 - 法廷日記

会社に退職届を提出すればOK

では具体的にどう辞めるかですが、退職届を会社に提出すればよく、それだけでいいです。有給が残っていれば退職日までの期間に使ってしまってもかまいません。

退職届は、以下をそのままコピペして()内と日付を補完すればOKです。 印鑑は押しても押さなくてもどっちでもいいです。証拠を残しておきたい人は印鑑を押してコピーをとっておきましょう。

退職届
(勤務先) 御中
 

 一身上の都合により、 年 月 日(2週間より後の辞めたい日)をもって退職します。

年 月 日(提出日)
(氏名)

しばしば問題になるケースは退職届を受け取ってもらえないというケースです。

そういうときは退職届を内容証明郵便・配達証明付きで会社に郵送してしまえばよいです。内容証明郵便の送り方がわからんという人は弁護士に依頼すればやってもらえます。本人名なら3万円、弁護士名なら5万円くらいでやってくれるでしょう。

有期契約の場合は「やむを得ない事由」が必要だが、、

以上の話は、一般的な期間の定めがない雇用契約を前提とした話です。いわゆる有期契約の場合に一方的に退職するには「やむを得ない事由」が法律上求められています。

が、有期契約の場合は会社側が切りやすいように有期契約としているにすぎないケースが多く、従業員が期間途中でやめてしまって問題となるケース(損害賠償請求等に発展するケース)は実務上ほとんどないと思います。

まあケースバイケースですので、有期契約の場合は一応あらかじめ弁護士に相談しておいた方が無難でしょう。

会社が辞めさせてくれないとか悩むのはバカバカしい

以上のとおり、会社が辞めさせてくれないというのは思い込みにすぎず、辞めたければ辞めてしまえばいいんです。

それでもなお「辞めさせてくれないんですぅ」とゴチャゴチャ文句だけ言ってるのはみっともないので、残って働くならゴチャゴチャいわずきちんと働きましょう。

*1:多くの企業の就業規則ではこの2週間の期間を1~6ヶ月などと延長して規定している。そのような規定の効力については争いがあるが、労働者としては無効と解すべきだろう。結果的に1か月なら有効という判断が後に裁判でされたところで、それ自体は辞めてしまった後には特に大きな影響はない。そもそも裁判にまで発展するケースも少ない。

国選弁護人は若手、ベテラン、長老どれがいい?

まもなく被疑者国選の対象事件が拡大し、全ての身柄拘束を受けた被疑者に国選弁護人が選任されるようになります。これまでは、軽い罪には被疑者国選はつかず、身柄を拘束されても私選で弁護人を選任するか、当番弁護で来てもらった弁護士に被疑者援助制度を使ってもらうしかありませんでした。例えば、これまでは器物損壊や住居侵入では、起訴されるまでは国選弁護人をつけてもらえません。

国選弁護人は自分では選ぶことはできません。各地域によって割り当て方法は異なりますが、あらかじめ名簿に登録している弁護士にランダムで割り当てるか、立候補により割り当てるかといった方式が取られています。

被疑者の方からみると、良い弁護士にあたるかいまいちな弁護士にあたるかは運です。刑事事件に強い弁護士にあたることもあれば、司法試験にも受かっておらず修習にも行っていない学者枠弁護士にあたってしまうこともあります。

よく聞くのは若い弁護士は頼りにならないのではないかという被疑者や家族の不安です。しかし、本当に若い弁護士は頼りにならないのでしょうか。僕は、むしろ若い弁護士の方がしっかり働く率が高いと思います。

というのも、若い弁護士の方が基本的に右も左もわからない分、マニュアルに沿った活動を忠実にするからです。刑事弁護のマニュアル本としては刑事弁護ビギナーズが定番なのですが、刑事事件を扱う新人弁護士はほぼ100%この本を読んでいます。

 

ビギナーズと銘打ってはいますが、このマニュアル本の監修は超一流の刑事弁護人によりなされています。ここで推奨されている弁護活動はひと昔前ならかなりの高水準の刑事弁護活動です。現在でも、この本に書かれていることを全て実践したら、上位の弁護活動になると考えてよいです。

若い弁護士が増えてきた昨今では、身柄解放のための勾留決定に対する準抗告や保釈請求が当たり前のように行われるようになってきました。これは、マニュアル本には当然のようにやれと書かれているからです。

実際、前科複数のリピーターの被疑者からは、若い弁護士はここまで動いてくれるのかという感謝の声が各地であがっています。それくらい昔の弁護士は手抜きだったということですね。

というわけで、まだマニュアル本を参照するくらいの危機感がある若手の弁護士がおすすめだと僕は思います。もちろん、人によりけりなところは大きいですけどね。