弁護士資格というものが離婚に関する法知識の担保にならないことは以前ご説明しました。
弁護士をつけずに離婚調停に挑むならこの一冊は読んでおこう - 法廷日記
各弁護士会が設置する法律相談センターや法テラスなどには離婚に特化したような相談枠があることもありますが、必ずしも相談担当者になるために離婚事件の経験○件以上などといった要件が課されているとは限りません。むしろそのような相談枠に応募する弁護士は仕事不足の弁護士であることが多いでしょう。
離婚事件は、弁護士にとっては参入障壁が最も低い事件類型なので、その質も様々です。弁護士に離婚事件を依頼すると少なからず50万円以上は出費を覚悟しなければなりません。それでは、離婚知識のほとんどない外れ弁護士を避けて、我々の貴重な財産を守るにはどうすればよいでしょうか。
とりあえず、以下のような質問にさっと答えられるかどうかは一つの目安になると思います。
- 私が長男を、配偶者が長女をそれぞれ一人ずつ養育する場合の婚姻費用・養育費はどうなるか。
- 私が住宅ローンを払っている持ち家に配偶者が住んでいるが、それは婚姻費用の算定にどう反映されるか。財産分与のとき住宅ローンはどうなるか。
1のように、夫婦がそれぞれ子供を養育しているケースは、世間によく浸透している婚費・養育費算定表には載っていません。そのため計算を一つかまさなければならないので、婚費や養育費の算定の基礎知識が問われます。知識的には、素人向けの本にでも載っているような基礎的なものですので、その弁護士が最低限の勉強をしているかどうかはわかります。
2のような住宅ローンの問題は、離婚事件を何件もやっていれば必ずぶちあたる問題です。抽象的なことはさすがに誰でも答えられると思いますが、婚姻費用については具体的な過去の審判例等ではどのように算定されたものがあるかが答えられるかで日頃の勉強が、財産分与については過去にその弁護士が経験した事例ではどのように解決した事例があるかを聞くことで経験がはかれます。
露骨に試すようなことを聞くと信頼関係が崩れる可能性もありますが、単純に疑問だから知りたいという感じで聞いてみれば問題ないでしょう。