一般的な感覚からすれば弁護士費用というのは結構高く感じる。1件あたりに数十万から数百万もかかるサービスなので、高級エステや海外旅行など高級サービスと絶対的な金額が同等なためだろう。
弁護士に依頼すると、要約すると金を払えとしか書かれていない数ページの内容証明を作るのにも5万円、簡単な示談交渉でも着手金20万円程度はかかる。
弁護士費用を請求すると、依頼者は二つのタイプに分かれる。一つは高いとゴネて金払いの悪いタイプ、もう一つは金払いの良いタイプ。金を稼ぐ能力に長けているのは圧倒的に後者だ。
弁護士費用を高いと感じる人たちというのは、概して機会損失にまで考えが回っていない。
例えば、簡単な債権回収でさえ、自前でやろうと思うと膨大な時間と手間がかかる。まず、内容証明の出し方から、内容正面の文面まで自分で調べようと思うと、とても数時間でできるものではない。さらに、自分でやり切れたとしても、とんでもないミスが隠れていて、かえって損害を拡大させてしまうおそれもある。
最大の問題は、債権回収にかまけている間に、自分自身が生産性の高い業務に従事できないことだ。人を雇っている人なら、利益を生む仕事に人を使えなくなってしまうことになる。
これが機会損失というやつだ。
機会損失を被るくらいなら、弁護士に5万円払った方がよっぽどいい。金を稼ぐ能力に長けている人は、この点を十分に理解しているので、法律問題を弁護士に依頼することに全くちゅうちょがない。結局、弁護士に依頼した方が最も得をするということを経験的にも理屈的にも理解しているからだ。
この機会損失の問題は弁護士に限った話ではない。金がかかるからといって、なんでも自分でやろうとする人はいつまでも稼ぐことができない。