法廷日記

浦部孝法の日記です。時事問題、法律問題に関して適当に書いています。

裁判所「銀行は娘が無断で引き出したお金を父親に賠償しろ」

娘が父親に無断で引き出した銀行預金について、銀行員が確認を怠ったため父が損害を受けたとして、三菱東京UFJ銀行に2082万円の損害賠償を命じる判決が8月21日東京地裁で下されました。

時事ドットコム:父の預金、娘が無断引き出し=三菱UFJに過失、賠償命令−東京地裁

報道によると、父親が娘に留守を頼んでいたところ、通帳と印鑑を持ち出されて勝手に預金の引き出しをされてしまったみたいですね。娘は、窓口で全額の引き出しをする直前2日間でATMから利用限度額まで引き出していたみたいです。このように疑わしい行動がなされているのに、本人に確認をきちんとしなかったことが銀行の過失と判断されたのでしょう。

家族間でのこのようなトラブルは割と多そうですね。相続の案件なんかでも、子どもが勝手に預金を下ろしていることはしょっちゅうあります。

しかし、銀行の過失を厳しく判断する判決が増えると、本人確認の手続などが利用者にとってもっと面倒な方向に進んで行ってしまうのが懸念されます。今でも銀行関係の手続は非常に面倒なのに、これよりも面倒になると嫌になってしまいますね。

僕も昔、身柄拘束を受けている依頼者から頼まれて保釈金を下しに行ったことがあるのですが、委任状や本人確認、口座の確認などで何度も銀行と留置場を往復して疲れ切った経験があります。銀行は、わざと下させないようにしてるんじゃないかと思うくらい面倒でした。

ちなみに、預金者に無断で銀行預金を下ろした場合、ATMからの引き出しは窃盗罪、窓口での引き出しは詐欺罪になるので注意しましょう。いずれも預金者だけでなく銀行も被害者になるので、預金者が家族であってもおおめには見てもらえません。なお、もともと他人から預金通帳を預かっていて口座の管理を任されていたような場合は横領になる場合があります。