法廷日記

浦部孝法の日記です。時事問題、法律問題に関して適当に書いています。

LINEいじめは学校裏サイトに比べ被害者側に有利

LINEいじめなるものが巷で話題になっている。

LINEとは、スマートフォンを使って、登録した友達やグループ内でテキストチャットを共有できるサービスだ。

LINEいじめの例としては、グループトーク内での誹謗中傷、無視、グループに入れない、被害者を外したグループトーク内での悪口といったものだ。

いじめ自体よろしくないのは前提として、学校裏サイトが隆盛した頃よりもLINEいじめの被害の深刻度は低いと思われる。理由は次の2点だ。

  1. 匿名性が低い
  2. 公開範囲が狭い

匿名性が低い

学校裏サイトなどの掲示板への書き込みの一つの問題点は、投稿者の特定が難しいことであった。そのため、発言内容も過激になりがちであり、全く関係ない第三者まで加わることもありえた。ネット掲示板への投稿者を特定するには、発信者情報開示請求手続などの法的措置をとらねばならず、費用や時間の問題があり、しかも必ずしも成功する保証もなかった。

しかし、LINEトークの場合は、投稿者の特定は容易であろう。そのため、誹謗中傷や脅迫などの証拠の収集が容易になった。LINEのトーク履歴は、刑事告訴や民事訴訟のために被害者にとって有力な武器になる。

公開範囲が狭い

学校裏サイトなどの書き込みが全世界に公開されるのに対して、LINEトークの公開範囲はメンバーがツイッターなどに転載でもしない限りは限定的である。

そのため二次被害の程度や被害の後処理が学校裏サイトに比べるとはるかにマシになっている。

加害者になるのを恐れるべき

世間の親は自分の子が被害者になるのを恐れる人が多いと思うが、むしろ加害者になることを恐れるべきである。

上記のようにLINEいじめは証拠化が容易であり、名誉毀損や脅迫・恐喝といったものは被害者側のさじ加減で容易に刑事事件化が可能になる。トーク履歴という客観的証拠が残るので、加害者側が言った言わないの水掛け論に持ち込むのが不可能になる。

特に少年事件にあっては、全件送致主義がとられており、犯罪の嫌疑が認められる事件については全ての事件が家庭裁判所に送られることになる。大人の事件のように、事案が軽微であっても原則として微罪処分や起訴猶予のような捜査機関限りで終結することはない。

LINEいじめなるものは、面と向かって殴ったり蹴ったりするようなわかりやすい非行少年でなくても十分犯しうるものである。家裁送りになったことがあるという不名誉な経歴を子供につけないよう、親が犯罪行為となることをしないよう注意喚起する必要が大きいだろう。