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法廷日記

浦部孝法の日記です。時事問題、法律問題に関して適当に書いています。

国選弁護人の不在期間は逮捕から勾留までの間だけではない-勾留中求令状の罠

法律事務所の私選刑事弁護のPRとして、逮捕段階から弁護人を付けることができるというものがある。

国選弁護人が付くのは、逮捕から72時間以内にとられる勾留という身柄拘束手続が開始してからだ。そのため、逮捕から勾留されるまでの72時間は弁護人が不在となってしまう。そこをとらえて、多くの刑事弁護に力を入れている事務所は早期から弁護人を付けることができることが私選弁護人のメリットだと広告している。

このことは、刑事手続に詳しい人には割と知られていることだろう。しかし、実は国選弁護人が不在となる期間は逮捕~勾留までの72時間だけではない場合がある。それは、勾留中求令状起訴という手続がとられた場合だ。

通常、勾留されて国選弁護人がついた場合、勾留満期で起訴されたら引き続き勾留段階の国選弁護人が起訴後も弁護人を続けることになる。しかし、勾留中求令状起訴という手続がとられた場合、いったん起訴によって国選弁護人が解任されるので、あらためて国選弁護人を選任する手続がとられることになる。

勾留中求令状起訴とは、A事実で起訴前勾留をしたが、A事実とは同一性のないB事実で起訴する場合だ。この場合、B事実で勾留してよいか改めて裁判官の審査を経る必要があるので、通常の起訴とは手続が異なることになる。そして、国選弁護人はA事実の勾留に対してつけられていたので、A事実での勾留がなくなる以上、いったん解任されることになる。

実務上は、いったん解任された国選弁護人は、B事実での起訴がなされた後に、あらためて裁判所の選任手続を経て弁護人に再任されることになる。この再任手続には1~2週間程度かかるが、この期間、弁護人が不在の状態となってしまう。

しかし、起訴直後は、保釈の手続など弁護人がやることはいっぱいあるので、起訴後の1~2週間弁護人が不在となる被告人の不利益は大きい。

なお、解任から再任までの間に起訴前段階の国選弁護人が活動しても法テラスの報酬算定外(例えば、この期間に通訳人を連れて接見に行った場合、通訳費用は弁護人の自己負担になる)であるし、そもそもその期間は弁護人ではないので各種手続をする権限がない。

刑事弁護を積極的にPRしていく法律事務所は、この勾留中求令状の場合の弁護人不在期間のこともPRしていけばよいのではないだろうか。