職業柄、いわゆるセミナーに行くことは多いのだが、セミナーの最後にある質疑応答の時間でイライラすることが多い。質問する側の質問がひどすぎるのだ。
僕が出席するセミナーのほとんどは弁護士向けのもので、出席者はほぼ全員弁護士だ。仮に無駄な質問に20分費やされた場合、弁護士の時間単価が1万円程度であることを考えると1万円×3分の1時間×受講者数の損失になるのだ。受講者数が180人の場合、損失額は60万円にも及ぶ。
ダメな質問のパターンは以下のとおりだ。
1.自己紹介型
よくあるパターンがこの自己紹介型である。
「本日は、貴重なお話ありがとうございました。私は、○○弁護士会の○○期の○○と申します。私は、10年間くらいこの問題にとりくんでおり、先生のお話していた○○の話などは、○○だなあなど思いながら、興味深く聞くことができました。最近では…」
と延々と自分語りが始まり、一向に肝心の質問が始まらないパターンだ。
まず、確認しなければいけないことは、セミナーの質疑応答時間というものは、受講者全員で質問と講師の回答を共有する場であって、個人的な主張を披露する場やカウンセリングの場ではないことだ。
したがって、質問者が誰であるかや、セミナーに関する感想など全く不要な情報なのだ。質問者は、みんなの時間を無駄にしないように直ぐに質問に入るべきである。いきなり質問に入るのは失礼だと思う人もいるかもしれないが、ぐだぐだ挨拶から入る方がよほど失礼である。どうしても挨拶を入れたい人は、「今日はありがとうございます。○○と申します。」とだけ言っておけば十分である。セミナーの感想はアンケート用紙にでも書いておけばいい。
2.ググれカス型
説明するまでもないと思うが、「ググれ」とは、グーグルで調べろという意味である。ググれカス型とはググればすぐにわかるようなことを聞くタイプの質問者の類型である。
「先生の著書があれば教えてください。」「この種の事件は何件くらいあるのですか。」
などとちょっとググればわかるようなことを聞くタイプだ。
せっかく経験豊富なプロの講師が来てくれているのに、ちょっと調べればわかるようなことを聞くのはもったいなさすぎる。
3.漠然不明確型
質問が漠然としすぎて、講師側が答えに窮したり、当たり障りのないことしかいえないパターンも困った質問の一つである。
「○○事件の解決のコツはなんですか。」
などといった漠然とした質問よりは、「○○事件を担当する場合、ときには○○といった場面に遭遇すると思うが、その際にとるべき行動の判断基準や指標について講師が意識しているものがあれば教えてほしい。」などともう少し具体的な内容にした方が講師側も答えやすいだろう。
4.それを聞いてどうする型
もはやこのタイプは論外である。
「先生は休日どのように過ごされていますか。」「結婚はしていますか。」
などとセミナーのテーマと全く関係ない講師のプライベートなことを聞くタイプだ。聞かれた側も困るし、他の受講生の利益に一切ならない質問である。まさにそれを聞いてどうするという質問だ。
セミナーの質疑応答の時間は、受講者全員のための時間であり、1分たりとも無駄に使うべきではないと心がけるべきである。