法廷日記

浦部孝法の日記です。時事問題、法律問題に関して適当に書いています。

弁護士下腹部切断事件の犯人、懲役4年6月の実刑

自分の妻が、妻の勤務先の弁護士に強姦されたと勘違いした慶応ロースクール生の男が、弁護士の下腹部をハサミで切断しトイレに流した事件で、2016年7月5日、男に懲役4年6月の実刑判決が下された。

元大学院生に懲役4年6月=弁護士下腹部切断「責任重い」―東京地裁 (時事通信) - Yahoo!ニュース

初犯の傷害事件で、懲役4年6月はかなり重い量刑である。先日、女社長が男性アルバイトを蹴って死なせた傷害致死罪で執行猶予判決が出たばかりであるが、バランスがとれているのか疑問である。下腹部も大事であるが、命より重いということはないであろう。死亡させた事件の量刑が、下腹部を切り取った事件より軽いというのは国民の納得を得られるだろうか。

傷害致死で執行猶予は軽いのか。 - 法廷日記

いずれにせよ被害者の弁護士からすれば懲役4年6月でも軽く感じるであろうし、この男が4年もすれば出てくるというのは恐怖であろう。

ところで、強姦されたと虚偽を述べた男の妻がなんのお咎めもなしということについてはネット上でも批判の声が多い。妻は犯行時、男に同行していたのであるから、真実を言う機会はあっただろうに。

本件は、女に振り回された悲しい男たちの物語である。

【局部切断裁判】小番一騎の嫁がクズすぎるww和田正弁護士下腹部切断事件その後、第2回公判で衝撃の真相が明らかにwww【画像・週刊誌内容あり】2ch「妻怖えよ…」 : NEWSまとめもりー|2chまとめブログ

何でもするという契約は法的に有効なのか-プロブロガー50円でなんでもやります事件

某プロブロガーが「自分の1日を50円で売る」「依頼内容は何でもOK」という旨の企画を実施したものの、「日雇いで働いて給料をくれ」という依頼を断ったことが話題となっている。

プロブロガーが「1日を50円で売ります」企画 「依頼内容は何でもOK」なのに日雇い労働を断り物議 - BIGLOBEニュース

既に50円を支払った依頼者側は、日雇い労働を履行するよう求めていたが結局は返金で解決したようである。

本件は当事者の話合いにより無事解決したのでよかったが、話合いがこじれた場合、ブルーアイズ高卒ドラゴン氏は宮森氏に日雇い労働の給料を請求することができたであろうか。1日50円でなんでもするという契約が果たして有効なのだろうか。

近代民法のもとでは、誰とどのような内容の契約をするかは自由に決定することができる(契約自由の原則)。そして、いったん自らの意思で契約を締結した以上、当事者は締結した契約に拘束される。契約内容に拘束されるのは、自己決定に基づく自己責任である。

もっとも、自由意思によって締結した契約が全て有効になるわけではない。例えば、Aを殺すという契約が自由意思によって締結されたからといって、国家がそれを強制することはできない。したがって、契約自由の原則には一定の制限がかかる。

契約が有効になるための一般的な要件は次のとおりだ。

  1. 内容が確定していること
  2. 実現が可能であること
  3. 適法であること

まず、内容がはっきりしない契約というのは国家がそれを強制的に実現することができないないので、これを有効にすることはできない。また、例えば太陽まで連れていくといったおよそ実現不可能な契約も無効である。さらに、前の例のような「人を殺す」といった不適法(公序良俗違反)な契約も無効である。

本件の「1日50円でなんでもやります」という旨の契約は上記でいうところの1の内容が確定していることの要件をみたさないと考えられる。「なんでもやる」というのはあまりにも漠然・広範とした内容で、内容が確定しているとはいえないだろう。

もっとも、「なんでもやる」の意味を限定的に解釈することで、本件契約自体は有効と解釈する余地がないわけでもない。

しかし、その場合でも、ブルーアイズ高卒ドラゴン氏が宮森氏に日雇い労働をし給料を請求することは契約の範囲外であるか、または権利濫用となり、認められないと考えられる。

一般常識からの契約の内容の解釈として、対価50円に対して、日雇い労働の給料を支払うというのはあまりにも対価が不相当で契約の範囲外と解釈される可能性が高い。労働契約への介入は労基法上の問題も生じうるだろう。また、民法は、権利が認められる場合でもその濫用を禁止しており、ブルーアイズ高卒ドラゴン氏が支払った対価50円に対し、日雇い労働の給料を全て支払うという内容の請求は、あまりにも対価が不相当であり権利濫用と評価され、同氏の請求はまず認められないと考えられる。

結局、結論としては、ブルーアイズ高卒ドラゴン氏の日雇い労働の給料請求は認められず、返金を求めることができる程度であろう。

なお、ネットの評論には本件契約を売買契約とするものもあるが、売買契約は財産権の移転を内容とするものであり、本件契約を売買契約と評価するのは無理があるだろう。契約の性質は、契約書の表記などで決まるものでなく、その内容によって決まるのである。

岡口裁判官、ついに報道される

法曹界では知らぬ者はいない著名な裁判官、岡口氏がついにマスコミに報道され世間に広く知られるようになった。

高裁裁判官、ツイッターに上半身裸の写真投稿 厳重注意:朝日新聞デジタル

岡口裁判官は、法律事務所や裁判官室にはまず置いてあるといっていい「要件事実マニュアル」という実務家向け法律書籍シリーズの著者である。多忙な業務の中、よくぞこれだけの書籍を執筆できるものだと、法曹界からは非常に尊敬されている人物である。

と同時に岡口裁判官は白ブリーフ愛好家としても知られている。岡口裁判官のツイッターには白ブリーフ姿の同裁判官の自撮り画像のほか、タンクトップ、上半身裸の自撮り画像が多数あげられている。その独特なポーズから「岡口撮り」などと呼ばれ、一部真似している者がいるとかいないとか。その他、なぜか同裁判官はいいガタイの男の写真を複数ツイートすることで有名だ。

こんな画像ばかりツイートしてて所属庁から怒られないのかと多数の法曹関係者が疑問に感じていたはずであるが、やはり怒られたようだ。岡口裁判官は謝罪文をツイッターに投稿し、それをもとに今回の報道がなされたようである。わざわざツイッターに投稿しなければ報道はされなかったと思うが、そこはさすがの岡口節である。

謝罪文のツイートはこちら。

所属庁から不適切と怒られたツイートや画像を消していないのもさすがの一言である。これに対してはなぜか三宅元議員が噛みついていたとのこと。

さて、このたび岡口裁判官は面白画像投稿者として世間に知られてしまったが、実際の同裁判官のツイートの多くは法務関係のニュースのピックアップで、そのキュレーション能力は非凡なものであると僕は評価している。

法務関係のニュースを追いかけたいのであれば、岡口裁判官のツイッターフォローは必須であろう。