グランドセイコーの駆動方式にはクオーツ、メカニカル、スプリングドライブがあります。ちょっと高い時計が欲しいとなるとクオーツは選択肢から外れ、メカニカルかスプリングドライブの2択になります。
メカニカルは一般的な機械式、スプリングドライブはセイコー独自の技術を使った機械式とクオーツのハイブリッド方式です。
今回はセイコーのスプリングドライブのメリット・デメリットを紹介します。
スプリングドライブのメリット
平均月差±15秒の高精度
スプリングドライブはぜんまいを動力源としながらも、クオーツ式のメカニズムを活用することで平均月差±15秒の高精度を実現しています。
この高精度は他メーカーやセイコーの純粋な機械式の精度を圧倒しています。スプリングドライブは、しょっちゅう時刻合わせが必要な機械式のデメリットを見事に克服したといえるでしょう。
特徴的なスイープ運針
カチカチしない滑らかな秒針の動き(スイープ運針)はスプリングドライブの特徴の日一つです。秒針の動きをわかる人がみればすぐにスプリングドライブであるとわかります。
スプリングドライブモデルのスイープ運針
スプリングドライブのこの独特なスイープ運針が購入の決め手となったという人も多く、スイープ運針はスプリングドライブの大きなメリットといえるでしょう。
72時間の持続時間
スプリングドライブの最大巻き上げ時の持続時間は、8デイズという特殊なモデルを除き72時間、すなわち3日間です。機械式時計の平均的な持続時間が48時間程度であることからすると、スプリングドライブの持ちは大きなメリットです。
72時間持続時間が持てば、金曜日の夜に外して、月曜日の朝につけてもゼンマイを巻いたり時刻を合わせる必要がありません。この持続時間の長さは驚異的な精度と相まって、スプリングドライブの実用性の高さを示します。
セイコーの独自技術が使用されている
スプリングドライブを搭載している腕時計はセイコーの時計しかありません。唯一無二の国産腕時計の技術を味わいたいという人にはスプリングドライブのオリジナル性は大きなメリットとなります。
スプリングドライブのデメリット
技術革新によりチープ化するおそれ
スプリングドライブにはクオーツの技術が応用されているため、電子部品が使われています。電子部品の使用は、技術革新により安価になる可能性があることを意味します。
かつて、セイコーが市販用クオーツ腕時計を世界で初めて発売したときは、クオーツ腕時計は非常に高価な商品でした。しかし、今ではクオーツ腕時計は1000円以下で買えるようなチープな技術になっています。
スプリングドライブは他社ではマネできないセイコーの高度な技術ですが、電子部品である以上、かつてのクオーツと同じように技術がチープなものになる可能性を否定できません。
高価なのに機械式腕時計の趣がない
より正確なクオーツや電波時計が安価に変える昨今、わざわざ高価な機械式腕時計を購入しようとする人は、電子部品を一切使用していない技術に魅力を感じているかもしれません。
その点、スプリングドライブは電子部品を使用しており、純粋な機械式腕時計からみればいわばドーピングをしているような製品です。
機械式腕時計であれば耳を近づければ「カチカチカチ」といった時を刻む音が聞こえますが、スプリングドライブは無音です。こういった点からも機械式時計好きには少々趣がないと感じられるかもしれません。