法廷日記

浦部孝法の日記です。時事問題、法律問題に関して適当に書いています。

ネットで犯行予告をするとどうなるか?

またまた香ばしいニュースが入ってきました。2ちゃんねるで特定の弁護士の名前を挙げて「ナイフでメッタ刺しにする」と書き込んだ少年が警察に出頭したそうです。

ネットに「殺す」 重い結末 少年、被害者に謝罪・反省 :日本経済新聞

記事中には、「書き込む人は10~30代の仕事を持たない男が多い。」と書かれていますが、結構高学歴の大学生や院生も加害者になってるケースがあります。ネットリテラシーの問題なので、あまり学歴は関係ないのかもしれません。我々みたいに普段からブログを書いている人には実感がないかもしれませんが、高学歴者でもネットの仕組みに疎い人はほんとに疎いですからね。

ところで、ネットで犯行予告をすると脅迫罪だったり威力業務妨害罪などが成立することになります。飛行機の爆破予告なんかをするとハイジャック防止法違反にまで発展する場合もあるでしょう。片山さんのときがそうでしたね。

同じネット関連でも、犯行予告と名誉毀損では警察の力の入れ方が違います。名誉毀損も脅迫も威力業務妨害も法定刑は同じ懲役3年以下または罰金50万円以下ですが、最悪生命・身体に害が生じうる犯行予告の方を警察は厳しくみているのかもしれません。

では、ネットで犯行予告をしてしまった人はその後どのような処分を受けてしまうのでしょうか。

捜査の流れ

警察は被害者や第三者からの通報などによって犯行予告を認知します。2ちゃんねるのような大手掲示板で犯行予告がなされた場合はたいがい祭りとなって、2ちゃんねらーが積極的に各所に通報することでしょう。

被害を認知した警察は、まずは掲示板管理者に犯行予告の投稿のIP開示を求めます。IP開示がなされれば、アクセスプロバイダ(OCN等)にそのIPの利用者の開示を求めます。

並行して被害者や関係者等からの参考人聴取をし、犯人が特定できていない場合は犯人の心当たりを調べたり、犯人が特定できている場合は被害者との関係や処罰意思を確認したりします。

それまでの捜査で十分に犯人の目星がついたら、犯人の逮捕状と自宅の捜索許可状の発付を受けて、犯人宅のパソコンなどを押収して犯人を逮捕します。名誉毀損では逮捕までされるケースはそんなに多くありませんが、犯行予告系はかなりの確率で身柄拘束される印象です。警察の訪問は予告なく突然きて(多くは早朝)、その後しばらく身柄拘束されてしまうので、犯人としては結構困ります。

逮捕されればほとんどの場合、勾留されて10~20日程度身柄拘束を受けます。

勾留後起訴されるかは、犯行の悪質性や前科・前歴しだいといったところですが、初犯であれば起訴猶予や略式罰金ですむことも多いでしょう。ただし、実名報道されてしまうと就職や社会生活に多大な影響を受けますし、被害者から損害賠償を請求されることもあります。

犯人に重大なことであるとの自覚はない

自分の人生にこれだけ重大な影響がある犯行予告ですが、おそらく犯人は犯行時それほど重大なことであるとの認識がありません。ニュースの事件の被害弁護士さんも2ちゃんねるではネタ化されてしまっているほど著名であり、彼に対する犯行予告や誹謗中傷がやまのようにあります。加害少年もそのたくさんのうちの一つの投稿にすぎないとして、ほんとに軽いノリで書いてしまったのでしょう。

子どもにパソコンやスマフォを与える際にはネットリテラシーをきちんと身に付けさせておかないと、とんでもないことになってしまいますね。