司法試験受験生の相談なんかにのると、そんなに少なくない頻度で過去問に手をつけてない受験生がいる。試験まで2年を切っているような状況でもそんな受験生がいることは非常になげかわしい。彼らのプライドを傷つけないように注意しながら「過去問はやらないのか」と尋ねるとほぼ決まってこう答える。
「まだ過去問を解くだけの実力がついてないんです。」
残念ながら彼らにその実力がつく可能性は低い。
試験勉強というのは過去問を解くことから始めるのが鉄則である。まず過去問を確認しないことには、何が試験で問われるのかが分からない。何が試験で問われるのかが分からなければ何を勉強していいのかが分からない。この状態でいったいどうして勉強ができるのだろうか。実際、過去問を解いてない受験生たちの試験勉強の内容は的外れなものが多い。
コツコツテキストを読んでなんとか読み終えてから試験直前になって過去問を解き始める人というのは非常に多い。テキストを読む→練習問題を解くという勉強法が子供時代から染みついているからだろう。山のように時間がある子供時代はそれでもよかったかもしれないが、勉強時間が限られている大人には到底できない勉強法だ。
ほとんどの試験というものは過去問ができるようになれば合格圏内に入れる。だからこそ過去問を解くことから始めるのがベストな勉強法なのである。いきなり過去問をやっても解けないと思う人もいるかもしれないが、別に最初から解ける必要はない。まずは解説を片手に解けるようになればいい。必要があればテキストの該当部分を読めばよい。
受験用のテキストというのは必ずしも試験に出る部分だけが書かれているわけではない。試験に出る重要な部分というのは基本的に過去問に集約されている。過去問で試験に出る重要な部分を確認してからテキストを読めば、メリハリをつけてテキストを読むことができ、勉強効率がはるかに上がる。別に満点を目指すわけではないのだから、テキストを隅々まで読む必要はないのである。
もし試験勉強をしていてまだ過去問を解いていないという人がいたら、まずは過去問を解くことから始めよう。そこが勉強のスタート地点である。