オフィスに通勤しなくていい生活というのは誰でも一度は憧れを持ったことがあるかもしれない。ちょっと前くらいに、ノマドだとか自由な働き方みたいなのがブームになったが、最近は少し尻すぼみになっている気がする。
それでも自由な働き方に関心がある人は、本書「強いチームはオフィスを捨てる: 37シグナルズが考える「働き方革命」」(早川書房)を一読しておいた方がいいだろう。
著者のジェイソン・フリード氏は、ソフトウェア開発会社「37シグナルズ」の創業者だ。プロジェクト管理ツールのキャンプベースの会社といえばわかる人も多いだろう。
彼の働き方に関する見解は、TEDでも述べられてる。興味のある人は英語の勉強がてら聴いてみるのもいいだろう。
Jason Fried: Why work doesn't happen at work | Talk Transcript | TED.com
僕もリモートワークというのには関心があるのだが、なかなか実現は困難である。本書に書いてあるように、オフィスには邪魔が多すぎるというのはその通りなのだが、ある意味その邪魔の対応が仕事なのでどうしようもない面はある。
僕のような訴訟を中心に生業としている弁護士の日中の仕事といったら、裁判所・依頼者・相手方等からひっきりなしにかかってくる電話の対応である。いくら邪魔になるからといってこれに応じないわけにはいかない。電話での顧客対応については、結局本書でもオフィスに社員を常駐させるしかないような書きぶりであった。
また、裁判所に行くにも打ち合わせをするにも結局オフィスに居るのが一番効率的なので、リモートワーク化というのは程遠い。顧客と直接会わないというのもこの仕事ではリスクが高すぎる。
とはいっても、職種や職務内容によっては、リモートワークも上手く働くと思われるので、そのような働き方や組織作りに興味がある人は一読の価値があるだろう。