法廷日記

浦部孝法の日記です。時事問題、法律問題に関して適当に書いています。

プロにタダで頼むって?タダより高いものはないぞ

デザイナーなどのプロに無料で仕事を頼むのはけしからんというのが話題になっている。僕ら弁護士やその他士業の人たちもその手の話題にはことかかない。

この問題に対する僕の答えは、プロたるものとにかくばら撒けというものだ。なぜなら、そうすることが最も得するからだ。僕はこれまで他人に無料で与えてきたことに対して、それをはるかにこえる返礼を受けている。情けは人のためならずというが、与えた恩というのは本当にかえってくるものなのである。

人間には「受けた恩は返す」という習性がある。いわゆる返報性のルールと呼ばれるものだ。社会生活を送る以上受けた恩を返さない人間というのは恩知らずとのそしりを受ける。だからこそ、プロにただのりしただけの人間はブログなどで恩知らず許すまじと晒され叩かれているのだ。

普通の人間は、この恩知らずのレッテルを貼られることを恐れるので受けた恩を返さずにはいられない。

もっとも、なんでもかんでも恩を与えればよいというものでもない。次のルールを守るべきだろう。

  1. 苦労にならないレベルのことをやる
  2. やるなら全力投球
  3. 簡単そうにみせない
  4. 見返りを要求しない

まずあなたが苦痛になるようなことはやってはいけない。そんなものは続かない。やるなら、あなたが他人よりもはるかに生産性が高く簡単にやれることがいい。

タダだからといって手を抜かないことは極めて重要だ。あなたの行動に対しては将来必ず恩返しがなされる。実質的には決してタダではないのだから、あなたの評価を下げるような仕事をしてはならない。

プロというのは素人ではできないことをいとも簡単にやってしまうものである。しかし、簡単そうに仕事をしてはいけない。素人にはそれが難しいということがわからないからだ。あなたの仕事がどんなに難しいことか相手に理解させる必要がある。アドバイスなどの無形の仕事の場合も、調査の過程や結果を示し、できるかぎり形に残るようにすべきだ。

また、ギブをした相手に対して見返りを要求してはならない。ギブアンドテイクではなくギブアンドギブである。見返りは要求しなくともいずれ返ってくるから心配しなくていい。

どんどん恩を振りまけば何倍にもなって返ってくる。しかもあなたが振りまく恩というものはあなたにとってとるに足らないことである。与えることこそ最強のセールスなのだ。

もし、ある人があなたから搾取だけしようとしていることがわかれば、その人からは離れればいい。ただそれだけのことだ。

返報性のルールについて詳しく知りたい人は7月発売の「影響力の武器」(第3版)が必読だ。