法廷日記

浦部孝法の日記です。時事問題、法律問題に関して適当に書いています。

建物明渡にかかる費用-不動産を副業にしている人は必見

最近、周りでマンション経営を副業にする人が増えている気がしますね。うまく行っているときは安定収入になってよいかもしれませんが、ときにはトラブルも生じることには注意しておくべきでしょう。

特に、賃貸物件の場合、賃料不払いでなかなか出て行ってくれない人に貸してしまった場合は悲惨です。そこで、建物明渡の流れや費用を見ていきましょう。

建物明渡の流れ

まあ当然ですが、まずは任意の明渡交渉から入ります。これで素直に出て行ってくれればラッキーですが、そうでない場合はいよいよ法的手続に入ります。

1.占有移転禁止の仮処分

明渡請求訴訟を提起して、無事判決で認められたとしても、裁判中に別の人に占有者が移ってしまっては、強制執行ができません。

そのため、そういった戦法をとってくるプロ賃借人が相手の場合は、まず占有移転禁止の仮処分の申立をして、占有者を固定させます。そのような心配がない場合は、この手続は必ずしもとりません。

2.訴訟提起

いよいよ、訴訟です。訴訟では、建物の明渡と未払いの賃料を請求します。賃料未払解除のときは、欠席判決になることも多いので、比較的早く終わることが多いですが、それでも数か月はかかります。

3.強制執行

判決が出たからといって、裁判所が自動で強制執行してくれるわけではありません。判決が出たら任意で明渡してくれる場合もありますが、往生際が悪い賃借人には強制執行の手続を別途取らなければなりません。

強制執行の申立をしたら、執行官が占有者に明渡の催告をして、再度任意の明渡しを促します。これでもだめならいよいよ業者を使って明渡の断行です。

建物明渡にかかる費用

1.弁護士費用

占有移転禁止の仮処分から強制執行まで一括で弁護士に依頼した場合の、弁護士費用は50万円程度です。

2.各種手数料

各種の裁判手続を利用する際は手数料がかかります。また、強制執行の際は、予納金として7万円程度裁判所に納めなければなりません。占有移転禁止の仮処分をやる場合は、担保金として賃料の3~6ヶ月分を提供します(これは全額返ってきます)。

3.執行費用

これが一番くせもので、強制執行を手伝ってくれる執行補助業者にも費用を払わなければなりません。しかも、この費用は50万円を超えることも珍しくありません。

4.合計

以上をみてみると、建物明渡で強制執行までやる場合にかかる費用は、100万円程度はかかることを覚悟しなければなりません。

空室にするのもダメですが、貸す相手は慎重に選ばなければなりませんね。保証人の存在も重要です。