法廷日記

浦部孝法の日記です。時事問題、法律問題に関して適当に書いています。

区役所の無料法律相談はおすすめできない

全国各都道府県の市役所や区役所では、市民向けに弁護士による無料法律相談を行っている。弁護士会の運営する法律相談センターがいつも閑古鳥が鳴いているのと違って、区役所の無料相談は満員御礼だ。

しかし、僕は区役所の無料法律相談はお勧めできない。

相談時間が短すぎる

役所の法律相談は、だいたい3時間くらいの枠に8人くらいの予約が入ることが多い。そのため、1人あたりの相談時間は15分~20分程度しかない。一般に、弁護士の法律相談が30~60分の枠で設定されるのに対して、明らかに短いといえる。

しかも、相談を担当する弁護士は、相談者の相談内容について全く前情報を持っていない。そのため、相談者は、極めて限られた時間内に自分がかかえている問題を弁護士に伝えなければならない。

しかし、相談者はそもそも何が問題となっているか把握していないことも多く、弁護士が各種の聞き取りをしていくうえで、問題点が明らかになっていくことが多い。それには、15~20分という枠はあまりにも短すぎる。

弁護士は、事実関係が不明なまま、踏み込んだ発言をするのを嫌う傾向があるので、短い相談の中で弁護士から聞けることは、結局ネットで調べればすぐわかるような一般論にとどまることが多いだろう。

中には、偶然相談内容について経験の深い弁護士にヒットし、短い時間でも的確なアドバイスをもらえることもあるだろうが、そんなことは稀であろう。また、一般に区役所の法律相談では、弁護士は依頼の勧誘をすることが禁止されているので、相談担当の弁護士が良い感じであっても受任してくれるとは限らない。

相談までの時間のコスト

役所の無料相談は月に数回行われるのが通常で、相談者は予約競争を勝ち抜いて予約しなければならず、予約ができてもだいぶ先の相談日が来るのを待たなければならない。また、区役所までの往復の交通時間も忘れてはならない。そして、上記の通り、相談で得られるものが不十分な場合も、時間を無駄にすることになる。

このような相談にかかる時間を考えると、15分2500円相当の法律相談が無料になることで得られる利益はほとんどないのではないだろうか。

これを使うことでメリットがあるのは時間はたっぷりあって、時給がほぼ0円に近い状態の人くらいだと思われる。

近所の法律事務所の無料相談のがマシ

いまどきの多くの法律事務所は、初回相談は無料扱いしていることが多い。区役所の法律相談にわざわざ行くくらいなら最初からこうしたところに行っておいた方がよいだろう。

一般の法律事務所なら、事前に相談内容を伝えておけば、持参すべき資料なども指示してくれて、当日の相談の時間を有意義に使うことができる。しかも無料だ。

それでもあなたはあえて区役所の無料相談に行くのだろうか。