僕らは誰でも毎日何らかの交渉をしています。今回は、とりわけビジネスで交渉する際にまずは押さえておくべきことを確認しておきましょう。
交渉の際にまず押さえておくことは、①交渉の相手を知ること、②相手が受け入れられる条件を知ることの2点です。
交渉の相手を知ること
交渉の相手を知ることなんて、何を言っているのかと思うかもしれませんが、意外にこの時点でつまずいている人がチラホラいます。というのも交渉の窓口に立っている相手が交渉相手だと思い込んでいる人がやたらと多いからです。
交渉の相手はその取引において決裁権を持っている人です。交渉の窓口に立っている人が決裁権を持っている場合もありますが、最終的な決裁権を持っている人は交渉窓口に立っている人でないことが多いでしょう。
したがって、まずは最終的にGOサインを出す人は誰かを見極めなければなりません。場合によっては、交渉窓口の人と協力して、決裁権を持つ人を説得することも必要になります。
相手が受け入れられる条件を知ること
交渉相手が見極められたら次に知るべきことは、相手がどの条件が飲めてどの条件が飲めないかを知ることです。
組織相手に交渉する場合、交渉条件について組織内で内規があるのが通常です。
例えば、Aという商品を1000万円より安く売ることはできないといった内規があるとします。
こういった相手にいくらAを950万円で売ってくれといっても徒労に終わります。無理に値切りをして取引を成立させたとしても、ウィン・ルーズの関係になってしまい、その相手とは今後の取引はないかもしれません。他方で、Aを購入する客にはBという100万円相当のオプションを50万円で付けることができるという内規があった場合、こちらにとってBが必要なものであれば、事実上Aを950万円で買うようなものであり、十分利益になる取引になります。
しかし、相手がBを50万円で付けることができるという情報を得ていないと、条件があわずノーディールになってしまいます。取引相手は、誰でも自分たちが最大限得をするように動きますから、最初からBというオプションの存在を教えてはくれません。そもそも相手はこちらがBを欲していることを知らないかもしれません。
取引が成立しないことは相手にとってもいい話ではありませんので、取引を成立させたい場合は、何らかの方法でそういった条件に関するサインを送ってくるはずです。そのサインを見逃さないことが重要です。
また、相手がそういったサインが送りやすいよう、こちらが望むことを正確に相手に伝えることが重要です。
逆に、このままでは取引が成立せずに、こちらにとってもそれはよくないという場合には、こちらが受け入れられる条件を相手に気づいてもらう工夫もしなければなりません。
それでも条件が合わなければ、取引してもお互いの得にならないので、ノーディールとすればよいのです。