法廷日記

浦部孝法の日記です。時事問題、法律問題に関して適当に書いています。

ASKAのタクシー動画流出は公開したマスコミが問題

覚せい剤使用で歌手のASKA氏が逮捕された事件で、同氏が逮捕直前に乗ったタクシーのドライブレコーダーの録画映像がテレビで公開されたことが炎上している。映像をマスコミに提供したのはチェッカーキャブの加盟社で、チェッカーキャブは事実を認め謝罪した。

ASKA容疑者のタクシー車内映像をマスコミに提供、チェッカーキャブが謝罪

タクシー内は車外から隔絶された空間であり、乗客にとってはプライバシー性が高い空間である。車内での会話の内容のプライバシー性が高いのはもちろん、乗客の移動に関する情報ですらもプライバシー性が極めて高い。運転手という第三者はいるが、通常運転手は乗客の会話や乗り降りの情報などを口外しないと期待されている。

タクシーはタクシー強盗や運転手への暴行などの防犯上の理由から車内の様子を録画している。この動画が今回の炎上事件のようにタクシー会社側に好き勝手に使われてしまっては乗客側はたまったものではない。

ASKA氏は有名人であるが、タクシーの乗車情報などは彼の純然なプライバシーであり、今回のような本人に無断でのマスコミへの動画提供は違法なプライバシー侵害であることが明白である。ASKA氏はタクシー会社へ損害賠償請求をしうるし、チェッカーキャブグループがその信用を著しく落としたことはいうまでもない。

ところで、動画を無断提供したタクシー会社が問題なのは当然であるが、それをテレビで公開したマスコミにも問題がある。

マスコミは、タクシー会社側の人間から動画の提供を受けた時点で、その動画が違法にASKA氏のプライバシーを侵害していることを十分に認識できたはずである。そうであれば、マスコミとしてはそのような動画を入手したとしても公開すべきではなかった。

結果的にはとにかく視聴率さえ取れればいいというマスコミのモラルのなさが今回のプライバシー侵害を引き起こしたのである。