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法廷日記

浦部孝法の日記です。時事問題、法律問題に関して適当に書いています。

トランプ大統領が教えてくれたギャップの重要性

昨日のアメリカ大統領選ではメディアの大方の予想に反しドナルド・トランプ候補が次期アメリカ大統領に選出された。

数々の暴言や排外主義、保護主義的な経済観がメディアに取りざたされ、トランプ氏が大統領に選出されたら為替は1ドル90円台、日経平均は1万5000円まで下がるといった評論が数々打ち出された。

実際、トランプ氏が優勢との選挙速報が出されるやいなや、予想通りNYダウ先物は700ドル超の下げ、日経平均も一時1000円超安、ドルも円に対し101円まで売られ、市場は大混乱に陥った。

しかし、トランプ氏が勝利演説をしたとたん風向きはいっきに変わった。トランプ氏の勝利演説の内容はこうだ。

ヒラリーの国への献身に心から感謝

全ての人に手を差し伸べる、アメリカ国民は一致団結しよう

全ての国に公正に対応し、パートナーとして活動する

トランプ氏はこれまでの報道とは打って変わり極めてまともな演説に終始した。この演説を受け、市場の評価は一転し現時点までドルは105円超まで買われ、日経平均も900円超上昇している。

トランプ氏の勝利演説はあたりさわりのない極めてまともなものであるが、格別優れているとか際立ったものは見受けられない。ちょっとした優等生が用意するような内容である。

にもかかわらず、どうしてトランプ氏の評価が一転したのだろうか。それはトランプ氏が作り出したギャップによるところが大きい。

トランプ氏は数々の侮辱的、差別的発言を繰り返すことで、「こいつは排外的でとんでもない奴だ。」との印象を国民に与えることに成功した。この時点でトランプ氏のイメージのマイナスへの振れ幅は非常に大きい。トランプ氏はその状態を認識しつつ、態度を変え、ニュートラルな極めてまともな状態に戻すことで、マイナスから0までの大幅な上げ幅を作り出したのである。

これは、不良がたまにまともなことをすると、客観的には大したことでなくても過剰に称賛される現象と同一である。人の評価は、感情によるところが大きいので、絶対的な数値のようなものでなく、相対的なギャップが重視される。トランプ氏はこの相対的なギャップを作り出すことで、ここぞというときに大したことをしなくても高い評価を得たのである。事実彼は格別すごいことは何もしていない。ただまともことを言っただけである。

このトランプ氏のギャップ創出手法はビジネスでも応用できる。顧客は期待以上の効用を得られたときに深く感動し、その店のファンになる。逆に顧客の期待を下回ったときは、そのサービスが業界の平均水準以上であっても顧客は失望し、その店には二度と来ない。そのため、ファンを作るためには顧客の期待水準をあらかじめ下げておくことが重要なのである。

トランプ氏はそのようなビジネスの常とう手段を見事に大統領選で披露し、盤石な政権を作る基礎を作ったといえよう。トランプ大統領にとっての顧客は国民であり、大統領になる前にあらかじめ国民の期待値を下げておいたことで、今後彼は普通のことをしているだけでも評価されるようになる。