法廷日記

浦部孝法の日記です。時事問題、法律問題に関して適当に書いています。

教師の採点にクレームを付ける親の子供は世渡り下手になる

ずいぶんと前の算数の理不尽採点ネタが再びNewspicsで話題になっています。

小2算数で『8×7+17=73』を担任教師が不正解にした驚愕の理由

内容は小学校2年生の算数でまだ習っていないかけ算を使って計算問題を解いたら不正解になったというものです。問題内容は以下のとおり。

1ふくろ8こ入りのチョコレートが7ふくろと、ふくろに入っていないチョコレートが17こあります。ぜんぶでチョコレートは何こありますか。

かけ算を知っている大人の我々の解答は普通は次のようになります。

8×7+17=73(個)

しかし、教師の言い分では、この時点でかけ算はまだ教えていないので、上記は不正解、正解は次のとおりとのことです。

(8+8+8+8+8+8+8)+17=73(個)

客観的に考えたらどちらも正解です。むしろ、高度なかけ算を使用した解答はより称賛されるべきとも思えます。

ですので、この教師の対応にクレームをつけたくなる気持ちもわからなくもありません。かけ算を使った計算も客観的には正解なのでどう考えても教師の対応は理不尽だからです。特に、学校で習う前からかけ算を習得しているような子供の家庭は教育熱心でしょうから、クレームがつくのもある意味当然でしょう。

しかし、ここで教師にクレームをつける親の子供は成長しません。僕なら次のように子供に教育します。

「お前の解答は客観的には正解だ。でも、試験の採点権限は教師にある。今回は教師にとっては不正解なのだから、次からは授業中に教師のいうことを注意して聞いて、教師のいったとおりに解答しなさい。」

試験というのは作成者・採点者の考えが全てです。受験生や外野がいくら喚こうといったん決まった採点基準や正解が覆ることはまずありえません。

たしかに、教師にいってることはどう考えても理不尽です。でもこんな理不尽なこと社会に出ればたくさん出会います。不正解になった児童は、純粋な算数の計算能力は高かったものの、教師の好みや意向を見抜く力は弱かったのです。本当に賢い児童がこの問題を解くときの思考過程は次のようになります。

「この問題は自習でやったかけ算を使って解けるな。でも、この間の授業では全部たし算で解くやり方でやったから、先生はそのやり方で解くことを期待しているな。面倒だけど全部たし算を使って解くことにしよう。」

この思考過程をたどれる賢い児童は、かけ算のやり方を知った上で、あえてレベルを教師に合わせて、たし算を使って解答することができています。この賢い児童は、不正解だった児童に欠けていた洞察力・観察力・コミュニケーション能力に優れています。そして、社会で重宝される能力は明らかにこちらの能力です。

自分の考えが正解だといちいち立てついてくる人間と、こちらの意向をズバリ見抜き期待通りの行動をとってくれる人間どちらが成功しやすいかは火を見るより明らかです。

本来は、学校などでの理不尽な体験を通して子供も成長していくはずなのですが、いちいち親がしゃしゃりでてクレームをつけてしまうと、どうしたら教師から高く評価されるのだろうと子供が自分で考えてコミュニケーション能力を養う機会が失われてしまうのです。