法廷日記

浦部孝法の日記です。時事問題、法律問題に関して適当に書いています。

なんちゃってフリーランスの本質は収入と自由のトレードオフ

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フリーランスとは、Wikipediaなどでは、「特定の企業や団体、組織に専従しておらず、自らの才覚や技能を提供することにより社会的に独立した個人事業主もしくは個人企業法人である。」などと定義されています。

要するにただの個人事業主のことなんですが、フリーのエンジニアやコンサルタント、翻訳家などのきちんと仕事を持っている個人事業主がこれまでの正統派フリーランスと呼ばれる人たちでした。

それに対し、フリーランスを自称し、「好きなことをして生きていく」とのお題目をかかげ、やっていることはブログにアフィリエイトを貼りつけてるくらいの人たちもいます。彼らのやっていることは到底事業と呼べるレベルのものでなく、せいぜい月数万円から20万円程度の収益を得て、きりつめた生活をするか足りない部分は家族の援助を得て生活するというのがよく見られる生態です。こういった人たちをここでは「なんちゃってフリーランス」と呼ぶことにします。

なんちゃってフリーランスのいう「好きなことをして生きていく」とは、要するにサラリーマンのように会社に縛られた生活をしたくないというのが本旨であって、特に彼ら自体に積極的にやりたいようなことがあるようには傍からはみえません。これまでのなんちゃってフリーランスは、会社からの縛りから解放される代わりに、生活の水準をサラリーマン時代よりも下げることが暗黙の了解とされており、収入と自由がトレードオフの関係にありました。

しかし、昨今、なんちゃってフリーランスたちが収入と自由のトレードオフという本質を忘れてしまって、本末転倒になっているのではないかと危惧します。

なんちゃってフリーランスたちの頂点かつ目標は、「年収150万円で僕らは自由に生きていく」と先陣をきったプロブロガーのイケダハヤト師でした。イケハヤ師の啓蒙により、サラリーマンで辛い思いするよりは・・・ということで数多くのなんちゃってフリーランスが生み出されました。

しかし、イケハヤ師は年収150万円で生きていくという本を出した1年半後には月50万円を稼ぐという本を出し、その1年後には月収200万円を達成しました。

5月のアフィリエイト収益(発生)は、過去最高の230万円でした。これが限界かな… : まだ東京で消耗してるの?

近時のイケハヤ師の急成長は、なんちゃってフリーランスたちにとって朗報かといえば、必ずしもそうとはいえません。

イケハヤ師の活躍は、ただ単にイケハヤ師がなんちゃってフリーランスではなく、正統派フリーランスであったということが確認されただけのことでした。そもそも正統派フリーランスであったイケハヤ師に自由と収入のトレードオフなどという前提はなかったのです。

しかし、なんちゃってフリーランス志望者たちは、師であるイケハヤ師が正当派フリーランスであることを認めたくはありません。そのため、自由と収入のトレードオフというなんちゃってフリーランスの暗黙の了解を忘れてしまい、よりいっそう「○○が便利すぎる!」といった碌に使ってもいないアプリやサービスのアフィリエイト記事を量産して、収入面で師に近づこうと頑張ってしまいます。ここにはもはや彼らが収入を捨ててまで恋焦がれていた自由はありません。

さらにイケハヤ師は月額約5000~10000円の有料サロンビジネスを展開し、貧しいなんちゃってフリーランスたちからの収益化にも成功しました。イケハヤ師は、今後師に憧れるなんちゃってフリーランスたちを使ってビジネスを拡大・安定化していくことも可能でしょう。イケハヤ師は、労働から逃げただけのなんちゃってフリーランスとは全く異質、極めて優秀な事業家です。

他方でなんちゃってフリーランスたちの多くが、収入と自由のトレードオフという本質を見失い、サラリーマン時代よりも自由と収入を失っていくことになるでしょう。