法廷日記

浦部孝法の日記です。時事問題、法律問題に関して適当に書いています。

ブラック企業を批判する人たちがブラックすぎる件

ここ数年ブラック企業批判が非常に流行っている。最近は、アルバイトをターゲットにした、ブラックバイト批判がブームである。

ブラック企業批判の先鋒に立っているのは、主に労働者側の弁護士や、NPO法人などの各種団体である。他方で有力な労働組合などは、正社員の既得権益を守ることが主眼なので、よそ様のブラック企業問題には消極的な態度である。

ブラック企業の批判者たちは、経営的にホワイトな環境を作れない企業は潰れてしまえなどと過激なことも言うこともあるが、彼らの周りの労働環境は決して彼らの理想とする労働環境からはかけ離れている。

弁護士こそブラック

残業代の不払い、長時間労働という意味では、弁護士の職場というのはブラックの上位に立てる環境である。残業代を貰っている勤務弁護士はほとんどいないし、多くの勤務弁護士はブラック企業の労働者よりも長時間働いている。弁護士になってから鬱になる者も多い。

勤務弁護士に残業代が支払われない理由としては、勤務弁護士は労基法上の労働者ではないという理屈がよく述べられる。労基法上の労働者でなければ、労基法は適用されないので、残業代を請求する根拠はないからだ。

しかし、労基法上の労働者にあたるか否かは、ざっくりいうと、使用者からの指揮監督を受け労働力を提供しているか、給料が労働の対価といえるかどうかから判断される。この判断基準では、勤務弁護士が労基法上の労働者といえる余地はかなりある。少なくとも、弁護士以外の者が同じような労働環境下にいれば、対ブラック企業弁護士は多いに批判をするレベルだろう。ところが、どういうわけか彼らは自分たちの労働環境には寛大である。

弁護士の労働環境がブラックであるなどとあまり言われてこなかったのは、これまでは弁護士の給料がそれを補って余るほど高水準であったからである。しかし、現在では、月給25万円弁護士会費などの諸経費は自己負担などという、ブラック企業の従業員よりも劣悪な待遇も珍しくなく、弁護士業界はもはや給料の面でもブラックであるといえよう。

ボランティアスタッフはただの無償労働者

ブラック企業を批判する各種の団体は、多くのボランティアスタッフによって支えられている。支えられているといえば聞こえはよいが、要するに無償で労働力の提供を受けているということだ。

彼らは、残業代も払えないような企業は不健全だから潰れてしまえばいいなどとよく口にするが、彼ら自身、無償で労働力の提供を受けなければ組織を維持できないという自己矛盾をかかえている。基本給すら払っていないという点ではブラック企業よりブラックである。

ボランティアをするかどうかは自由なのだから、ボランティアスタッフと労働者を同列におくべきではないとの批判もあるだろうが、ブラック企業で働くかどうかも同様に自由であることを忘れてはならない。