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法廷日記

浦部孝法の日記です。時事問題、法律問題に関して適当に書いています。

新幹線放火自殺テロ犯人の家族は損害賠償責任を負うのか

どうでもいい日記 法律論

新幹線で焼身自殺テロをした事件が話題です。新幹線の安全神話崩壊だなんだといわれていますが、この手の悪意を持った者による計画的テロはいくら規制を強めても防げるものではありません。これを機に持ち込み物規制などができないよう祈るのみです。

ところで、新幹線が止まったことによる経済的損害はかなりのものです。それを受けてネットのコメントでは家族に莫大な損害賠償請求がいくのではないかなどと言われています。しかし、果たして本当に家族に莫大な損害賠償請求などいくのでしょうか?

不法行為責任は個人責任が原則

故意または過失により他人に損害を与えた者は、損害を賠償しなければなりません。

賠償責任を負うのは、あくまで故意または過失により他人に損害を与えた者です。ですので、他人の不法行為について個人は責任を負わないのが原則です。これは家族であっても同様です。

家族が損害賠償責任を負うのはあくまで次のような例外事情がある場合に限られます。

責任無能力者の監督義務者の場合

責任無能力者は不法行為責任を負いません。責任無能力者とは物事の善悪がわからない人のことをいい、だいたい小学生以下の子供や精神障害がある人がこれにあたります。ボケ老人もこれにあたります。

責任無能力者が不法行為責任を負わないとなると被害者の救済ができませんので、その場合は監督義務者(子供の親など)が代わりに責任を負います。ただし、監督をしっかりしていた場合は責任を免れます。

責任無能力者の不法行為が問題となった事件として有名なのが、愛知県で91歳の認知症の男性が電車にはねられた事件で、妻に監督義務違反があったとして、鉄道会社から男性の妻への損害賠償請求が認められた事件です。現在最高裁に上告中の事件なので、結論が変わる可能性もありますが注目すべき判決です。

認知症の徘徊で鉄道事故 91歳の妻に約360万円の賠償命令 名古屋高裁

なお、責任無能力者とまではいかなくても、未成年者が不法行為をした場合は、親の監督義務違反が不法行為だとして損害賠償請求が認められる場合もあります。

損害賠償債務を相続した場合

次に、家族が損害賠償請求をされる場合としては、加害者が死亡したときに損害賠償債務を相続した場合が考えられます。

ただし、この場合、遺族としては相続放棄をしておけば損害賠償債務を相続することはありません。

結局家族が賠償責任を負う場合は少ない

以上みてきたように、家族が損害賠償請求を受ける場合は限られています。基本的には子どもが何かをやらかしたときに親に請求がくるくらいです。認知症の高齢者も注意しておきたいところです。一方、成人して特に精神障害もない身内が何かをやらかしても、家族にまで請求が派生することはほとんどありません。

怖いのは知らない間に相続していたような場合ですので、相続放棄だけはしっかりしておきましょう。