法廷日記

浦部孝法の日記です。時事問題、法律問題に関して適当に書いています。

株は損してる銘柄から売りなさい

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まずは、以下の事例を考えてみてください。

AさんはX社の株1単元(時価100万円)とY社の株1単元(時価100万円)を保有している。Aさんは子どもの大学入学一時金が必要になったので、X社かY社の株を売って入学金にあてようと考えた。以下の条件のとき、AさんはX社、Y社いずれの株を売るべきか。

・AさんがX社の株を買ったときは1単元130万円で、現在X社の株は30万円の含み損が発生している。

・AさんがY社の株を買ったときは1単元70万円で、現在Y社の株は30万円の含み益が発生している。

・X社、Y社はいずれも上場している。

この事例を考える際、結構な数の人が含み益の出ているY社の株を売るべきと解答してしまいます。人間の心理として、儲かっているうちに利益を確定したいというのと、値下がりをしているX社の株はいつか元に戻るだろうという期待があるからです。

しかし、合理的にはY社の株を売るという判断は賢くありません。今回売るべきなのは含み損が発生しているX社の株です。理由は以下の2点。

1.利益を確定すると税金がかかる

2.将来の株価は読めない

1.利益を確定すると税金がかかる。

利益のでているY社の株を売ってしまうと、確定利益30万円×20%=6万円の税金が課税されてしまいます。そうすると手元には94万円しか入りません。

他方で含み損のあるX社の株を売っても、利益がないので税金はかかりません。手元には100万円がまるまる入ります。

税金の支払は遅らせられるなら遅らせるにこしたことはありません。税金の面からいえば、税金のかからないX社の株を売るべきです。

2.将来の株価は読めない

Y社の株を売ってしまいたくなるのは、値上がりしたY社の株がいずれ元に戻るのではないだろうか、逆に値下がりしているX社の株もいずれ元に戻るのではないだろうかという心理が働いているからです。自分が買ったときの値段に心理的にしばられているわけです。

しかし、上場株の値段というものは、今現在市場で付けられている値段が限りなく正解に近いものであって、割安・割高な株なんてほとんど存在していません。なぜなら、上場株というものは投資のプロ同士が、投資対象となる会社が将来稼ぐであろう価値を計算した上で取引をしているため、常に妥当な値段がつけられているからです。そこから先株価が上昇するか下降するかは、インサイダー情報などの超過情報を保有していない限り全くのランダムで未知数です。将来の株価というのは一切予想ができないものなのです。

そのため、今後の株価の動きに、自分が買ったときの値段は全く意味がありません。持っているどの株が上がるか下がるかなんてわからないので、どの株を売ったって期待値はいっしょです。そうであれば、今現在税金のかからない株を売っておくのが手元に入る金が減らないのでお得なわけです。

以上、株は損している銘柄から売るべきであるというお話でした。