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法廷日記

浦部孝法の日記です。時事問題、法律問題に関して適当に書いています。

酒鬼薔薇事件の審判全文公開、年寄りの自己顕示欲ほど厄介なものはない

法律論 どうでもいい日記

30代以降の世代にとって、残虐な少年事件といえば、やはり神戸の酒鬼薔薇事件が思い浮かぶだろう。被害者の生首が中学校の正門前におかれるというショッキングな事件のため当時はかなり報道もされて、遺体に「酒鬼薔薇聖斗」と書かれていた紙が置かれていたため、酒鬼薔薇事件として当時の人々の記憶に深く根付くことになった。

酒鬼薔薇事件の犯人は、中学生であったためいわゆる少年事件として、家庭裁判所で少年審判がなされた。少年審判は通常の刑事裁判と異なり、非公開の手続である。そんな中、近時、酒鬼薔薇事件の担当裁判官であった井垣康弘元裁判官が酒鬼薔薇事件の少年審判の決定文を文藝春秋に公開するという荒業をしたそうである。要旨はもともと公開されていたが、全文は公開されていなかったので、この公開により、より事件の詳細知られることになる。

もちろん、裁判所は井垣元裁判官に断固抗議

神戸家庭裁判所は井垣元裁判官に対し、「裁判官が退職したあとも負う守秘義務に反する行為だ。少年法で非公開とされている少年審判に対する信頼を著しく損 ねるうえ、事件関係者にも多大な苦痛を与えかねないもので遺憾だ」とする抗議文を送りました。また、文藝春秋と共同通信の編集委員に対しても書面で抗議し ました。

引用元:神戸児童殺傷事件 決定文掲載に家裁抗議 NHKニュース

裁判所の抗議はごもっともである。

これに対し、決定文を公開した井垣元裁判官は、

これについて井垣元裁判官はNHKの取材に対し、「社会に問題を投げかける意味で、決定全文の公表に踏み切った。当時、裁判所が公表した要旨では、少年が 『重大な事件を起こした子』ということは分かるが、どういう育ち方をして事件に至ったのかというプロセスの部分、成育歴の部分だけぽっかり抜け落ちている ため、少年という人間に対する理解が社会的には不十分なままで捉えられていると思う。成育歴の部分も読んで理解を深めてもらいたい。家庭裁判所の批判は全 く当たらないと思っている」と話しています。

引用元:神戸児童殺傷事件 決定文掲載に家裁抗議 NHKニュース

と反論。しかし、守秘義務違反との批判に対する反論にはなっていない。

なお、事件の遺族からも決定文が興味本位でみられることになって辛いとの声が出ているようだ。今回の公開には法曹関係者からも批判の声が多い。

今回の公開は、普通に考えればやっては駄目とわかりそうなものだが、どうして元裁判官ともあろう者が公開に踏み切ったのか。金に困る身分ではなさそうなので、出版社からの微々たる謝礼では説明がつかない。むしろ、自己顕示欲によるものなのではないだろうか。年寄の自己顕示欲というものは、周りにはなかなか押さえつけられないほどやっかいなものである。それは近時の小泉元総理をみてもわかる。

そもそもなぜ退官した裁判官が昔の事件の非公開記録を未だに持っているのかも疑問だ。これに関しては、裁判所の事件記録管理があますぎたといわざるをえないのではないだろうか。