法廷日記

浦部孝法の日記です。時事問題、法律問題に関して適当に書いています。

フリーランスは悪質リース商法にご用心

クーリングオフ制度や消費者契約法による消費者保護が強化されている昨今、消費者向けの悪徳商法はやりにくくなっている。そのため、悪徳事業者のターゲットはフリーランスや零細事業者にシフトしつつある。

クーリングオフや消費者契約法は頭の弱い一般消費者を保護するためのものであるため、対等な交渉能力を持つという建前の事業者には適用されないのが原則だ。もっとも、事業者といっても個人事業主や零細企業の経営者の持つ交渉能力なんてものは、実際には一般消費者と大差ない。にもかかわらず、零細事業者を保護するための法整備はなされていないのが現状だ。そんな法の抜け穴を見逃すほど、悪徳事業者はバカではないため、零細事業者が悪徳事業者のターゲットになるのはある意味必然である。

とりわけ、最近被害報告を聞くのはリース契約を利用した悪徳商法が多い。

リース契約とは、リース会社が商品を販売業者から購入し、ユーザーがリース料を支払い、商品を利用する契約をいう。

例えば、ユーザーが販売業者の商品である複合機を使いたいときに、複合機をリース会社が販売業者から購入して、ユーザーにレンタルし、ユーザーは毎月リース料を決められた期間(例えば5年)リース会社に払うといった感じだ。この場合、複合機の所有権はリース会社にあるので、ユーザーはあくまでリース会社の所有する複合機を借りて利用できるにすぎない。

ここまでみるとただのレンタル契約のように思ってしまう人もいるだろうが、ユーザーはリース契約を中途解約することはできず、できても残リース料を一括で払わなければならない。結局ユーザーは商品を購入したときと同等以上の額の支払をせざるを得なくなるのだ。

悪質なホームページリース商法

リース商法の中でも悪質極まるのはいわゆるホームページリース商法である。

悪徳業者は、「ホームページで顧客を増やしませんか」などとの甘言をもちい、高額な契約を勧誘しようとする。リース契約であれば、月々の支払はさほど多くないと感じてしまうこともあり(300万円の契約でも5年60回払いなら月5万円)、判断能力の低い零細事業者は業者の強引な勧誘とあいまって契約してしまうことがある。

ここで注意が必要なのは、リース契約は本来、ホームページ作成のようなサービス提供の対価には使えないことだ。

そこで、悪質業者はホームページ作成ソフトやSEOソフトなど形のある物品を販売する形態をとって、別途無料または低額で保守契約やホームページ作成契約をユーザーと締結する。リース物件となったホームページ作成ソフトの額面は数百万円に及ぶものもあるが、実際にはそのような価値はない。ユーザーにとって本来肝心な契約はユーザーと業者とのホームページ作成契約である。

この場合、ホームページの作成内容が当初の業者の説明と違ったり、業者がとんずらこいたときでもユーザーはリース料の支払を継続しなければならないのが原則である。というのも、あくまでリース物件はホームページ作成ソフトであり、ホームページ作成契約はリース会社とは無関係だからである。

そういった事例に対し、リース会社からのリース料の支払請求を排斥した事例もあるが、リース契約の性質上、ユーザーの分が悪いのが現状だ。特にすでにリース料をいくらか払ってしまった後にユーザーが被害を自覚したときは、救済が困難になるケースも多い。

これからはフリーランスの時代などともいわれるが、誰にも保護されず食う食われるの関係に立つわけであるから、契約に関する知識は十分につけておく必要がある。