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法廷日記

浦部孝法の日記です。時事問題、法律問題に関して適当に書いています。

職務質問の正しい対応方法

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みなさんは警察官から職務質問を受けたことがあるでしょうか。僕は学生のころにボロボロのマイ自転車に乗ってバイト先に向かっていたとき、盗難自転車じゃないか職務質問を受けました。人生で職務質問を受けたのはそれ一回きりです。

ニコニコ生放送などでも、配信者が外配信中に職務質問を受けることは時々あります。職務質問を受けている動画は神回などと呼ばれ、アーカイブの再生数がすごいことになっていることもありますね。

そういった動画をみるたびに、多くの配信者や動画に付くコメントが「職務質問は任意だ」ということを言っています。さて、この「任意」って果たして我々が普段使っている任意という意味なのでしょうか。任意の意味を確認するとともに、あわせて職務質問を受けた場合の正しい対処法を確認していきましょう。

法律上の「任意」とは?

警察官がする職務質問は警察官職務執行法2条1項を根拠に行うことができます。

2条1項

警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行わ れた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知つていると認められる者を停止させて質問することができる。

職務質問はよく任意だと言われますが、これは警職法2条3項が職務質問において強制手段を用いることを禁止しているためです。

2条3項

前二項に規定する者は、刑事訴訟に関する法律の規定によらない限り、身柄を拘束され、又はその意に反して警察署、派出所若しくは駐在所に連行され、若しくは答弁を強要されることはない。

ところで、「任意」だと言われると全くの自由であるということを意味すると思えます。

しかし、警職法上の任意とは「強制ではない」という意味にすぎません。「ん?言っている意味がよくわからん。強制でなければ自由じゃないの?」と思った人もいるかもしれません。それでは「強制」の意味について確認してみましょう。

「強制」とは、判例上、個人の意思を制圧して権利利益を制約することをいいます。ここでは個人の意思が制圧されているかが強制か否かを分ける重要な基準となります。個人の意思が制圧されるような場合とは、例えば羽交い絞めにする、上着を無理やりはぎ取ってポケットの中を漁るなどといったことが考えられます。

さて、ここで「任意」の意味を思い出しましょう。そうです、「強制ではない」が任意の意味でした。そうすると、個人の意思を制圧しないようなもの、例えば立ち去ろうとする人の肩を軽くつかんだりすること、前に立ちふさがること、手荷物のチャックを開ける程度のことは強制ではない、すなわち「任意」ということになります。

それらの行為が「任意」とされることは一般の人の任意という言葉に対する感覚からするとだいぶ異なってくるのではないでしょうか。このややこしい「任意」の意味のせいで、かなり誤解が生まれているのではないかと思います。

応じなければ応じないほど警官のやれることが増える

さきほど確認した任意の意味からすると、警察官は職務質問で帰ろうとする不審者をその場にとどまらせる程度のことは基本的にできることになります。とはいえ、強制でなければなんでもやっていいというわけではありません。判例は、任意であっても被質問者の権利の制約は相当性が認められる範囲でしかできないとしています。

この相当性ですが、不審者の不審事由が高まれば高まるほど不審者の権利制約ができるようになります。不審者が職務質問に応じないことは、一般的にその不審者にやましいことがあるからだという風に考えられてしまいます。そのため、職務質問に応じなければ応じないほど警察官が権利制約できる範囲が増えてしまうのです。

職務質問には素直に応じるのが原則

運悪く職務質問にあってしまった場合、最も早く解放されるための手段は、迅速に職務質問に応じることです。所持品検査を求められても、抵抗せずに鞄の中身を素直にみせましょう。何もなければ警察官はさっさと見回りに戻ります。

それでも鞄の中に熟女本など他人に見られるのが恥ずかしい物が入っていて所持品検査に応じられないという場合も多々あると思います。そうした場合に所持品検査を避けるには長期戦を覚悟せざるを得ません。不審事由を高めないよう応じられる範囲で職務質問に応じ、ゆっくりとその場から離れるようにしましょう。この際は、必ずとどめおこうと立ちふさがれたりすると思いますが、警察官の身体に触れたり手を振り払ったりしないよう最善の注意が必要です。場合によっては公務執行妨害で現行犯逮捕、逮捕に伴う捜索のコンボをくらうおそれがわずかながらあるためです。

あまり長い時間のとどめ置きや無理やり鞄を奪うことは違法となる可能性が高くなります。所持品検査などを拒否すれば数十分くらいの説得を受けることはあるでしょうが、警察官も帰ろうとする不審者に無理に長時間所持品検査を続けることはありません。もちろん、令状をとれば強制的な所持品検査も可能ですが、明らかに薬をやってそうな不審者でもない限りそこまでやることは少ないでしょう。

そもそも職務質問されないことが大事

さきほど確認した警職法2条1項によれば、職務質問は挙動不審者に対して行われるものでした。職務質問を受けたということは、警察官から見て挙動不審な部分があったということになります。あまり頻繁に職務質問に遭うようであれば、少し自分の身の振る舞い方について振り返った方がいいと思います。

警察官が職務質問のターゲットにする人は、その場の通常の人の流れに沿わない人です。その人の目線、歩く方向、服装・持ち物などがその場の人の流れからみて不自然であれば声をかけられる可能性が高まります。

ニコ生の外配信者のように、おにぎりキャップを被るなどの変な服装でノートパソコンに向かって何かつぶやいている人というのは、その場の人の流れからみて明らかに不自然ですので声をかけられて当然というわけですね。