3組に1組が離婚するといわれる現代においては、離婚後のライフプランを考えておくことも重要です。そのため、年金分割制度についての関心も高まってきています。
年金分割制度とは、婚姻期間中の年金記録を当事者間で分割し年金額に反映させる制度です。将来貰える年金を分割するものではなく、婚姻期間中の納付実績を分割するものである点に注意が必要です。要は、厚生年金等の納付額が少ない方がちょっと多く納付したことにしてもらえるようなものです。
さて、年金分割制度を検討する前に日本の公的年金制度について簡単に確認しておきましょう。
年金には、20歳以上の全員が入る国民年金(基礎年金)と会社員が入る厚生年金、公務員が入る共済年金があります。厚生年金や共済年金は基礎年金に上乗せされるので、いわゆる2階建ての制度になります(さらに企業年金や共済年金の職域加算の3階建ての部分もあり)。
ところで、年金分割制度で分割されるのは、厚生年金・共済年金だけになります。基礎年金部分は分割されません。そのため、国民年金しか入っていない自営業者の配偶者に対しては年金分割の請求をできません。
例えば、夫が自営業者の弁護士(国民年金のみ)、妻が会社員(厚生年金)の夫婦が離婚した場合は、夫から妻に対して年金分割請求をすることがあっても、その逆はないわけです。
年金分割制度からみた場合、理想の配偶者は厚生年金や共済年金をたんまり納付しているサラリーマンや公務員ということになります。