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法廷日記

浦部孝法の日記です。時事問題、法律問題に関して適当に書いています。

ブロガー必読書籍-その「つぶやき」は犯罪です(新潮新書)

情報を発信するということは素晴らしい知的作業であり、現代はネットを介して誰もが平等に情報発信できる非常に恵まれた時代である。

他方で、違法なネット上の表現行為により人生を棒に振ってしまった人も数えきれないほどいる。彼らは極悪人なのかといえば、必ずしもそうではない。本格的なキチガイも時にはいるが、大多数の人はそこらにいる犯罪とは無縁の人と大差はない。一流企業に勤めている人や有名大学の優秀な学生さんだってざらにいるのだ。

ただ一つ言えることがあるとすれば、彼らは情報発信をする能力に比べ、そのリスクに対して無知すぎた。その無知の代償は刑罰と民事的損害賠償義務、そして実名報道などの社会的制裁である。彼らにもう少しばかり法的な知識があれば、そのような悲劇は避けることができ、また被害者も発生しなかったはずだ。ネットでの情報発信は、誰でも社会に影響を与えることができる素晴らしい活動だが、そこには重大なリスクが潜んでいるのである。

それでも、情報発信をすることができる喜びを知ってしまった以上、僕らは情報発信にブレーキをかけることはできない。交通事故が起きるからといって車に乗ることをやめられないのと同じだ。

僕らにできることは、交通ルールを理解してそれを守ることと同じように、ネットの法律知識を理解してそれを守ることだ。しかし、交通ルールは学校や教習所で教えてくれるが、ネットの法律知識は誰も教えてくれない。自分で勉強するしかないのだ。

その際に役に立つのが本書「その「つぶやき」は犯罪です」(新潮新書)だ。

本書では、名誉毀損、著作権侵害、肖像権侵害、プライバシー権侵害、ステマなどのネットの法律問題に関して具体的な事例を元に簡潔に解説してくれている。新書なので、法律に疎い人もあっさり読めるだろう。ここ数年の最新裁判例も収録されているのでこの分野の勉強をしたい実務家が読んでも参考になる部分は多いはずだ。

もちろん本書のみでネットの法律問題を十分理解することはできない。法律の知識は一朝一夕で身に付くものではない。しかし、これ1冊で「これはアウト」となるものを判別できる程度の嗅覚は十分身に付くと思う。ブログを通して情報発信をする人々は、手遅れになる前に本書で最低限の法律知識を身に付けて欲しい。ネットの法律知識を身に付けることは、ネットで情報発信する者の責務である。