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法廷日記

浦部孝法の日記です。時事問題、法律問題に関して適当に書いています。

弁護士を懲戒請求→3300万円の損害賠償請求

あらあらというニュースがまいこんできました。

匿名による情報提供サイト「和ネット」の投稿により名誉を傷つけられたなどとして、和歌山市で法律事務所を経営する男性弁護士が同サイトの管理人を相手取り、3300万円の損害賠償を求める訴えを和歌山地裁に起こした。提訴は4月24日付。管理人によると、同サイトに関わる損害賠償請求は初めて。訴状などによると、同サイトの掲示板で中傷されたという会社から相談を受けた弁護士が2月初旬、管理人に該当項目を掲示板から削除するよう求める通知を出した。管理人は「投稿者との係争による司法の判断によって処置を行うのが妥当」として削除せず、さらに、弁護士が通知の中で法的措置に触れたことは弁護士基本職務規定に反するとして、和歌山弁護士会に弁護士の懲戒請求書を提出。懲戒請求したことを掲示板に掲載した。これらが、弁護士業務を妨害し、社会的信用を失墜させたとしている。

 引用元:損賠提訴:「和ネット」を提訴 弁護士「名誉傷つけられた」 /和歌山

懲戒請求書や訴状などの各種資料は、この「和ネット」というサイトで公開されているようですね。

この事件がどうなのかはわかりませんが、弁護士に対する懲戒請求のほとんどは濫用的な根拠のないものです。日弁連の公表している懲戒処分率によれば、2012年の懲戒請求中の懲戒処分率は2パーセントと非常に低率にとどまっています(ただし、2012年は格別低く、1996年から同年までの平均は概ね5パーセント程度)。

懲戒請求をする人の中には単なる苦情程度の軽い気持ちでやる人もいるかもしれませんが、弁護士の懲戒請求手続はそんなに軽い手続ではありません。根拠もないまま懲戒請求をした場合には、虚偽告訴罪になる場合があります。このことを知らない人は結構多いのではないでしょうか。

刑法172条

人に刑事又は懲戒の処分を受けさせる目的で、虚偽の告訴、告発その他の申告をした者は、三月以上十年以下の懲役に処する。

また、懲戒請求を受けた弁護士は、仮に根拠がないものであっても、弁護士会に弁明書を出したり、調査期日に出頭しないといけなくなります。このような負担もあるので、根拠のない懲戒請求は民事上でも不法行為となって、対象弁護士から損害賠償請求を受けることもありうるでしょう。

刑事告訴や懲戒請求など他人を陥れる手続は、慎重にも慎重を期してやらないと結構大変なのですよ。