法廷日記

浦部孝法の日記です。時事問題、法律問題に関して適当に書いています。

起こってしまったことは元には戻らない

車をぶつけて壊してしまった場合、修理することになります。修理費用は当然かかるし、修理が終わっても、修復歴が残った車になってしまいもはや元の車とは別物です。

修理をするのにコストがかかること、修理が済んでも元の状態には戻らないことというのは、受け入れなければなりません。そのコストを軽減したいなら保険料を払って保険に入らなければなりません。

これは当たり前のことだと思うのですが、被害者意識が強い人はなかなかこれが納得できません。

100万円の損害を被ってしまった場合、その時点で既にマイナス100万円の状態がスタートラインです。損害発生前のマイナス100万円は、発生後には0ポジションに変わります。

後は、損害の回復のためにかかるコストと回収可能性を推定して、損害の回復活動をすべきかどうかを決めます。もし、損害回復活動による期待値がコストを下回っている場合は、損害回復活動はとりません。それが合理的な人の選択でしょう。

しかし、被害者意識の強い人たちは、このような合理的な選択を受け入れられません。彼らの思考は、損害回復のためのコストはかけたくないが、当然損害の全額を回復されるべきだというものです。損害を被る前のいわばプラス100万円の状態に固執して、合理的な選択をすることができません。さらに悪いことに、多くの場合、彼らは損害を被る前の状態よりもプラスの状態にならないと納得ができません。だって自分は被害者なのだから。

そのような思考にとらわれていると、合理的な選択ができる人たちに比べ結局は損をしてしまいます。起こってしまったことは元には戻らないのです。